Sierのこれからの存在意義と将来性について教えて下さい。
記事の内容
Sierが存在している一番の理由は、日本の雇用システムと関連しています。
日本の企業が従業員を解雇できるようになれば、Sierの存在意義は一気に薄れていくはずです。
この記事では、Sierの暗い将来について説明します。
Sier業界とは何か?
Sier業界とは、企業にシステム作成を依頼されて、それを作る業界のことです。
例えば、ユニクロの本業は服を作って売ることであり、在庫を管理するような受発注のシステムを作ることはできません。
そういった時に、ユニクロは受発注システムの構築をSier業界に依頼します。
みずほ銀行なども同様です。
銀行の本業は、お金を融資して投資することです。
そのため、彼らはシステムを作ることはできないので、ATMシステムの構築をSier業界に依頼します。
このように、企業からの依頼でシステムを構築する企業のことを、Sier(企業)と呼びます。
反対に、Sierにシステムの構築を依頼する企業を「ユーザー企業」と呼びます。
ユーザー企業は、なぜ、エンジニアを雇わないのか?
ユーザー企業が、エンジニアを雇わない理由は明らかです。
システム開発は作り始めが忙しい傾向にあり、一度、システムが完成した後は、エンジニアが暇になることも珍しくありません。
ということは、システムが完成した後は、ユーザー企業にとって、エンジニアに払う給与は無駄になってしまいます。
その時にエンジニアを解雇できるならば、ユーザー企業もエンジニアを雇うことができるのですが、現在の日本では従業員の解雇は許されていません。
そのため、ユーザー企業はSierを利用して、エンジニアの雇用を調整しています。
これが、ユーザー企業がSierを利用する主な理由です。
一度、システムを作ったら終わりという古い考え方
ユーザー企業が、エンジニアを雇わない理由は理解できました。
しかし、そもそも、「システムが完成した後は、エンジニアが暇になる」という理論は正しいのでしょうか?
仮に過去の時点では正しかったとしても、将来的にはどうなのでしょうか?
今でも、インターネットは、圧倒的なスピードで進化を続けています。
PCや携帯から見るWebサイトは、毎年、キレイで使いやすくなっています。
また、iPhoneやAndroidのアプリも、次々と新しいものがリリースされています。
これからは、Apple Watchのようなデバイスに対応するアプリも増えてくるはずです。
そして裏側の仕組みに目を向けて見れば、機械学習を利用した「レコメンド機能」のようなものも増えています。
また、自動車の仕組みにも目を向けて見て下さい。
今までは、自動車会社は、一度、自動車を売ってしまったら、それで終わりでした。
特に異常がない限りは、自動車会社が新たに車に何かを追加することはありません。
でも、これからは違います。
自動車は、スマホやPCのようなソフトウェアで管理されているデバイスになります。
ですから、自動車会社は、スマホに新しい機能やアプリを追加するような感じで、自動車に新しい機能を追加していくようになるはずです。
これらの事実は、エンジニアがやるべき仕事は、ドンドンと増え続けていくということも意味しています。
ということは、「システムが完成した後は、エンジニアが暇になる」という理論は、将来的には怪しくなることがわかります。
GAFAは、どのように開発を進めているのか?
IT先進国のアメリカでは、どのように開発をしているのでしょうか?
少なくとも、今、世界で活躍中のGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)が他社で働くエンジニアを利用しているという話を聞いたことはありません。
GAFAは、自社で選りすぐりのエンジニアを雇用した上で、圧倒的な成果を出しています。
よくよく考えて見れば、GAFAのように、自社でエンジニアを雇用した方がいいに決まっています。
従業員が、会社での中で成果を出すためには、以下の条件が必要になってきます。
従業員が成果を出しやすい環境
- 従業員が会社に対して忠誠心を持つ
- 従業員への高待遇
- フラットな組織作り
- 意見を言いやすいフラットな環境
Sier企業に雇われて、ユーザー企業で働くエンジニアは、上記のような条件で働いているでしょうか?
例えば、あなたが富士通に勤めながら、みずほ銀行に行ってシステムを作っているとします。
「みずほ銀行のために、いいシステムを作りたい!」と思えるでしょうか?
また、みずほ銀行の行員に対して、奇譚のない意見を言えますか?
もちろん、応えは「No」なはずです。
さらに、あなたが、みずほ銀行で稼いだお金は、富士通に掠め取られています。
そう考えると、GAFAのように、ユーザー企業が直接、エンジニアを採用した方がいいことだらけです。
まとめ
この記事では、Sierの存在意義について考えてみましたが、残念ながら、Sierの存在意義はほとんどありません。
解雇規制が緩和されて、ユーザー企業が直接、エンジニアを採用することが一般的になれば、ようやく、日本企業もGAFAと戦うことができるようになるかもしれません。
令和になってから、いくつかの企業が「これからの時代は、終身雇用は難しい」と言い始めました。
もしかすると、解雇規制は思ったより早く緩和されて、Sierが必要とされなくなる時代は早く来るのかもしれません。
Good luck with your engineer life!
この記事は、この本を参考にして書きました。
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