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日本のクラウド化はSierのせいで遅れています【Sierは必要ない!】

更新日:

記事の内容


今、世界ではAWSのようなクラウドサービスが流行っています。
Amazonは、AWS、GoogleやGCP、MicrosoftはAzureというクラウドサービスを提供しています。
非常に便利なサービスですが、日本は全く有効活用できていません。
この記事では、その理由を説明していきたいと思います。
結論だけを先に述べると、Sierのせいです。

クラウドサービスとは何か?

そもそも、クラウドサービスとは何でしょうか?
クラウドサービスとは、他人からPCを借りるようなものです。
例えば、私達がPCを使おうとしたら、PCを購入したりレンタルしたりする必要があります。
でも、クラウドサービスを使えば、PCを購入することなくPCの機能を使うことができます。

PCを使おうとした時に手間が少なくてすみ、さらに100台、1,000台のPCをすぐに借りることもできます。
IT化が進んでいくこれからの社会では、クラウドサービスは最も重要なサービスの一つだと言えます。
各社が提供しているサービスと売上高は以下の通りです。

提供している会社 サービス名 売上高(2019年の第4四半期)
Amazon Amazon Web Services(AWS) 1兆円
Google google cloud platform(GCP) 3,000億円
Microsoft Azure 1兆1,000億円

Gartnerの調査

調査概要

このグラフの縦軸は、IT総支出額(通信サービスを含む)から、そこに占めるククラウドへの支出額の割合を計算して「クラウド支出率」を出しています。
「ITへの投資額において、どれぐらいクラウドに積極的か」ということを示す指標だと言えます。
横軸は、クラウドへの投資額の成長率を示しています。
「ここ最近、どれぐらいクラウドに積極的か」ということを示す指標だと言えます。

そして、ガートナーは、クラウド化に対する国の姿勢を3つのグループに分けています。

後を追いかけている国 カナダ、イギリス、ポーランド、オーストラリア、
オランダ、ブラジル
遅れている国 フランス、ドイツ、メキシコ、ロシア、インド、
スペイン、トルコ、韓国、イタリア
やる気がない国 日本、アルゼンチン、インドネシア

中国

中国とインドは、横軸で右の方にあります。
つまり、ここ最近になってクラウドの積極活用を行おうとしていることがわかります。

欧米

欧米は、IT投資におけるクラウドの活用が高いです。
クラウドを重要視している証拠です。

日本

日本は、クラウドに積極的ではないし、あまり活用しようともしていません。

日本のクラウドの利用状況

2018年に行われた通信利用動向調査報告書からの抜粋です。

クラウドの利用状況は、少しづつ増えています。

ただし、使われているクラウドサービスの多くは、システム開発ではありません。
Dropboxのようなファイル共有サービスや、Gmailのようなメールサービスです。
肝心のシステム開発は、10%未満です。

これでは、クラウドに消極的と見られても仕方がありません。。。

なぜ、日本ではクラウド化が進まなかったのか?

ここまで、読んだところで、多くの人は疑問に感じたはずです。
なぜ、先進国であるはずの日本で、クラウド化が進まないんだろう?という疑問です。

その理由は、日本独特のSierという仕組みのせいです。
日本では、大手企業がシステムを構築する時に、エンジニアを雇用しません。
例えば、みずほ銀行が「ATMのシステム」を欲しいと思ったとします。
その際にみずほ銀行は、NTTや富士通といった大手のSier企業にシステム構築を依頼します。
そして、Sier企業がATMのシステムを構築します。
その時のシステム構築方法が、大きな問題になりがちです。

なぜならば、Sier企業がクラウドを使ってシステムを構築することは、みずほ銀行の利益にはなりますが、Sier企業の利益にはならないからです。
ということは、Sier企業がシステム構築をみずほ銀行に提案する時は、クラウドを使わないように提案することになります。
これが、日本でクラウド化が進まない理由です。

Sier企業は自社の利益のために、みずほ銀行の業務の効率化を望まないという悲しい現実があります。。。
その辺りの詳細は、この本と記事に書かれています。

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まとめ

この記事では、日本の企業ではクラウド化が進んでいない状況と、その理由について説明しました。
ちなみに、解決方法は簡単です。
ユーザー企業(記事の例だとみずほ銀行)が、直接、エンジニアを採用しましょう。
そうすれば、エンジニアは自社の利益になるクラウドを勝手に導入してくれるはずです^^

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