記事の内容
2019/9月にあった京急電車とトラックの衝突事故にショックを感じた人も多いはずです。
大型トラックのドライバーは、なんと67歳の高齢者でした。
それでは判断力が鈍っていても、何ら不思議ではありません。
それにしても、なぜ、高齢者がドライバーとして働かないといけないのでしょうか?
その理由の一つに、ネット通販による宅配便の取り扱い個数が増えているからというものがあります。
この記事では、その背景を深堀りして紹介していきたいと思います。
目次
Amazon、楽天、メルカリによって宅配便の取り扱い個数が増えています
日本では、Amazon、楽天、メルカリといった通販を利用する人達が増えているために、宅配便の取り扱い個数が大幅に増えています。
平成28年度の宅配便の取り扱い個数は約40億とも言われており、2020年には60億個に到達するそうです。
年間で40億だと、一日の取り扱い個数は1,100万です。
トラックのドライバーが一日に配れる量が500個だとすると、2万人のドライバーが必要になってきます。
そして、運送に必要なのはドライバーだけではないので、各社の負担は相当なはずです。
下記の画像は、ヤマト宅急便だけの取り扱い個数ですが、2000年に比べてると2018年時点で2倍ぐらいになっていることがわかります。
佐川急便は撤退して、ヤマトは値上げをしました
Amazonの取り扱い個数が増えすぎたことは、大手運送会社の2社を苦しめることになりました。
なぜならば、Amazonが依頼する宅配便の単価は安いためです。
そのため、2013年に佐川急便はAmazonとの取引を止めました。
その一方で、ヤマトはAmazonとの単価アップの交渉に成功しました。
それにより、しばらくは、「宅配便の取り扱い個数が増えすぎる問題」は落ち着いていますが、将来的にはその問題が再発することは明白です。
Amazon Flexという個人配達サービス
最近、Amazonが、「Amazon Flex」というサービスを始めました。
Amazon Flexは、「個人事業主で配送業をやっている人」とAmazonを結ぶためのサービスです。
このサービスが、今後、増加するであろう宅急便に対応するための施策であることは明白です。
これからは、Amazonと契約を結ぶ配送業を営む個人が増えていきます。
週50時間で、およそ月収40万円を稼げるならば、喜んで契約を結び人達も多くいるはずです。
アメリカで問題になっているドライバーとAmazonの雇用関係
個人事業主が配送業を営むことは、一見すると何の問題もなく素晴らしいことのように思えます。
でも、先行して個人事業主がAmazonから配送業を受託しているアメリカでは、社会問題が起こっています。
その社会問題の詳細はこの記事に書かれていますが、Amazonと契約をしたドライバーが重大な交通事故を起こした場合に、Amazonは一切、責任を取らない姿勢に疑問が投げかけられているそうです。
アメリカ人の目には、Amazonは人件費を浮かせるために、あまり訓練を受けてないドライバーと契約をして、ドライバーを酷使しているように映っています。
そのため、疲れたドライバーが引き起こした重大な交通事故の責任は、Amazonが取るべきではないか?という主張が出てきています。
こういった社会問題に対して、Amazonやアメリカの裁判所がどのように対応していくのかは、要注目です。
追記ですが、カリフォルニアでは、このような雇用契約に歯止めをかける法案が成立したそうです。
カリフォルニア州議員は火曜日に、UberやLyftのような企業に、契約労働者を従業員として扱うことを要求する画期的な法案を承認しました。
これから日本で起こりうること
同様の問題は、日本でも起こるでしょう。
日本はただでさえ高齢化社会ですし、今でも高齢者の交通事故は問題になっています。
さらに、年金の不足問題もあるため、高齢者の貧困も問題になり始めています。
この状況では、多くの高齢者ドライバーがAmazonの配送業と契約を結ぶことになるでしょう。
そして、その未来の行く末は、京急の電車とトラックがぶつかったような凄惨な事故の多発です。
勿論のこと、Amazonがその責任を取ることはありません。
まとめ
この記事では、宅急便の増加と重大な交通事故の関連性について紹介しました。
できれば、このような未来にはなって欲しくありませんが、多くの人がECサイトを使う以上は、この問題は避けられないように思います。
ドローン配達や自動運転が早く一般的になって、事故が起こらないようになって欲しいですね!
Good luck!
これから、Amazonが描く未来を知りたい方には、こちらの本をオススメしています。