今後のSier業界の未来を考えるにあたって、どのような点がポイントになってきますか?
記事の内容
Sier業界が、本格的に衰退していくには、いくつかの条件があると思っています。
この記事では、その条件について説明していきたいと思います。
Sier業界が提供しているサービスは無くなるのか?
Sier業界が衰退していくかどうかの一つのポイントは、Sier業界が今まで提供していたサービスの代替品が新たに生まれるかどうかです。
例えば、Amazonが提供しているクラウドサービスであるAWSは、Sierが手掛けていたサーバー事業を代替しています。
今まで、Sierは、システムを構築するさいに、サーバーの準備やサーバーの構築も合わせて引き受けていました。
でも、AWSが一般的になってからは、SierもAWSの利用者になりました。
そうして、サーバー事業の売上がなくなってしまったので、必然的にSierの売上は落ちることになります。
ATMのようなシステムも同様です。
現在、多くの日本人はお金をATMから降ろしてから、それをSuicaなどにチャージして使っています。
そういった手間が省けて、自分の銀行口座から直接、Suicaなどにチャージをすることが一般的になれば、ATMという存在が必要ではなくなります。
20年ぐらい前までは、公衆電話というものが街中にありましたが、今では、ほとんど残っていません。
電子決済が一般的になれば、ATMも公衆電話と同様に失くなるはずです。
その結果として、ATMシステムをメンテナンスしていたSier企業の売上も落ちることになります。
このように、Sier業界の衰退は、「既存のサービスがどこまで代替されるのか」ということに懸かっています。
また、法律改正の問題なども影響してくると思います。
ユーザー企業は、エンジニアを解雇できるようになるのか?
他の大事なポイントは、「企業が正社員を解雇できるようになるのか」という点です。
例えば、ユニクロやセブンイレブンのようなITではない企業(ユーザー企業)でも、Sierを使わずに、自分達でエンジニアを雇ってチームを作りたいと考えているはずです。
ただし、問題が一つあります。
ITの仕事というのは、作り始めが忙しくて、システムが出来上がってからは、最初ほどは忙しくはありません。
それはつまり、余剰人員が出てくるということです。
その時に、ユーザー企業としては、従業員を解雇できないと困ります。
なぜならば、解雇ができないということは、仕事がないエンジニアに給与を払い続けるということを意味するからです。
それを避けるために、人員の調節弁として、ユーザー企業はSier企業を利用してきました。
でも、解雇規制が緩和されて、ユーザー企業がエンジニアを解雇できるようになれば、Sierを利用する機会も減るはずです。
エンジニアは、いつまで我慢を続けるのか?
最後の大事なポイントは、エンジニアは、いつまで辛い環境で我慢するのかなという点だと思っています。
最近、IT企業でブラックと言われる話は、大体はSierの話です。
Sier企業では、クライアント先に常駐するので、どうしても上下関係ができてしまいがちです。
そうして、「円滑に仕事をする必要がある」という思惑の元で、エンジニアはクライアントからの理不尽な要求に耐えなければいけません。
Sier企業に勤める従業員は、会社にもよりますが、かなり給与が安い人達もいます。
その理由は、Sier業界のピラミッド構造にあり、ピラミッドの上にいる会社が利益を抜いた上で、下請けの会社にお金を配っているからです。
ピラミッド型の構造がなくなり、ユーザー企業とエンジニアの直接の取引になれば、エンジニアの給与はもっと上がるはずです。
ただし、今のSier業界の理不尽な状況に、エンジニア達が耐えている間は何も変わらない気がします。
「こんな環境では働きたくない」と思っているSierの人達が、積極的に転職活動をして、Sier企業から逃げ出せば、業界はかなり変わるはずです。
まとめ
この記事では、Sierが今後、衰退するかどうかという点について、3つのポイントで説明しました。
これからSierが衰退していくことは明らかなのですが、どういったスピードで衰退していくのかは、法律も含めて様々なことが関連してくるので、定かではありません。
そういった中で、エンジニアが考えておくべきことは、Sier業界でもWeb業界でも働ける力を身につけておくべきということです。
上流工程と下流工程が分離されているSIer業界の仕事に長く浸かってしまうと、部分的な仕事ばかりになり、設計からリリースの1から10まで、全てをやり切る力は身に付きません。
そうすると、よほど一つの能力で突き抜けない限りは、エンジニアとしての価値は高くなりません。
また、後になってWeb業界に就職しようとしても、スピード感に差があり、かなり辛く感じるかもしれません。
それを避けるためには、早め早めにWeb業界へ転職して、エンジニアとしてチャレンジしていく方がいいかと思います。
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Good luck with your engineer life!
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