日本の労働者が圧倒的に買い叩かれている理由【日本人の給料は安すぎ!】

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記事の内容


日本の労働者は圧倒的に買い叩かれています。
それこそが、「日本は生産性が低い」と言われる理由です。
「生産性が低い」というのは、「労働時間が長くて給料が安い」という意味です。
この記事では、日本の労働者が買い叩かれている理由と、その構造、そして対策方法の3つについて説明していきたいと思います。

日本の労働者が買い叩かれていると感じる理由

私はフィリピンによく行くのですが、そこで欧米人とも話す機会があります。
その時に、よく思うのが「日本の労働者は、本当に辛そう」ということです。

労働時間が長く、長期休みはない

フランス人は、2ヶ月ぐらいの長期休暇を普通に取得しますし、ドイツ人も1ヶ月ぐらいの休みを取得します。
それに比べて、日本人の長くても10日間という休暇は、あまりにも短いと思います。

飲食店で提供しているサービスは良いが、従業員の賃金は安い

ここ数年でよく、「日本の飲食店は安くて美味しい」という話を聞きます。
それは私も同感です。
フィリピンにあるラーメン屋(一風堂)は、日本にある一風堂と同じぐらいの値段です。
所得水準には、5倍以上の格差があるにもかかわらず、同じ値段なのは不思議な話です。

また、アメリカに旅行に行った人の多くは、「レストランは大して美味しくないのに、値段が高かった。
さらにチップを払わないと駄目だった」と不平を言っています。

そう考えると、感覚的には日本人労働者は、不当に安い給料で働いている気がしてきます。
でも、感覚的な話だけだと説得力には欠けると思うので、数字的な話もしていきたいと思います。

数字的に見ても、日本の労働者は買い叩かれています

まずは各国の最低賃金を見ていきましょう。
圧倒的に、日本人の賃金が安いことがわかります。

これは、日本人労働者の質が悪いからなのでしょうか?
感覚的には、日本人の労働の質は世界的にも素晴らしいと思いますが、実は悪いのかもしれません。
それを数値にしたのが、次の表です。
なんと、人材の質は4位にランクインしています。
あのアメリカがこんなに低いの?と思う方もおられると思いますが、「平均した人材の質」を考えると妥当だと思います。
アメリカの人口は3億人を越えていますし、格差の激しい社会だからです。

人口が1億人を越えている国で、日本のランキング4位は大健闘していると言えます。
日本より上位のフィンランドの人口は550万人、ノルウェーの人口は520万、スイスの人口は840万人です。
人口が多くなるほど、人材の教育は難しくなるはずです。
10倍以上の人口の差を考えると、日本の労働者の質は実質、世界一と言ってもいいはずです。
まぁ、私は日本人なので、ひいき目で見ていますけど(笑)

他にはビッグマック指数という有名な指標からも、日本の労働者が買い叩かれていることがわかります。
詳細な説明は、「なぜ日本のビッグマックはタイより安いのか」を読んで下さい。
簡単に言うと、日本のビッグマックはタイよりも安いのですが、その理由は人件費を削っているからだということです。
日本は不動産や電気代も高く、材料費もタイよりは高いはずです。
それにも関わらず、日本のビッグマックが安い理由は、人件費が削られているからだという話です。

何で、日本企業は日本の労働者を買い叩いているのか?

ここまで読んだところで、あなたも日本人労働者が、不当に買い叩かれている気がしてきたはずです。
では、なぜ、そのような状況になっているのでしょうか?

それは、日本の少子化のせいです。
人口動態の予測は、ほぼ当たると言われているのですが、日本はこれからの十数年で、3000万人ぐらいの人口が減ります。
ということは、あらゆる産業が縮小を余儀なくされるということになります。
今まで10社あったスーパーは、7社ぐらいになって、喫茶店なども半減するかもしれません。

それに気付いている各社は、生き残るために必死にお金を貯め込んでいます。
そして、ライバル会社の体力が無くなって倒産するのを待っています。
そうして最後まで残った企業は、美味しい思いができると思い込んでいます。
これを「Last man standing戦略」と呼びます。

そして、そのしわ寄せは労働者にきています。
なぜならば、企業が簡単に利益を出す方法は、従業員の給料を削減することだからです。



労働者が買い叩かれないために、政府ができることは何か?

この問題の厄介なところは、Last man standing戦略は、企業が取るべき戦略としては正しいということです。
なぜならば、従業員の給料を上げたくて、1社だけが給料を上げたとしても、他社との価格競争に負けて倒産してしまうからです。

でも、国益にはなっていません。
つまり、ミクロでは正しいけど、マクロでは間違っているという状況です。

そこで政府の出番です。
政府が最低賃金をコントロールすれば、全ての会社が一斉に給料を上げざるを得ない状況になります。
最低賃金を毎年、少しづつ上げていけば、労働者の給料は自然と上がっていきます。

その結果として、「安く働いてくれる人不足」を叫んでいる中小企業は倒産するはずです。
そうして、今ある企業の統廃合が進んでいきます。
一般労働者は、それでも全く困りません。
むしろ、企業が統合されれば、従業員同士が助け合いやすくなるので、助かるはずです。

例えば、「20名以下の会社の一人経理」みたいな人は、なかなか会社を休むことができないはずです。
でも、会社が統合されて、「100名以下の会社の5人経理」となれば、融通を効かせて休むこともできますし、効率よく働くことも可能になります。

つまり最低賃金を上げると、以下のようになります。

庶民には嬉しい

  • 従業員の給料が上がる
  • 小さい会社が倒産して、大企業で働くことになる従業員が、助け合いながら効率よく働くことができる

小さい会社の社長には辛い

  • 「高い賃金で人を雇えない会社」が倒産して、社長は困る

どちらを選択するべきかは、明白ではないでしょうか?

デービッド・アトキンソン氏とは何者か?

上記の理論を提唱している、デービッド・アトキンソン氏についても簡単に説明したいと思います。

アトキンソン氏の経歴

  • 世界一と言われるオックスフォード大学を卒業しています
  • 世界的な大企業であるゴールドマン・サックスでも働いていました
  • 日本の国宝や重要文化財などを補修している小西美術工藝社の会長です
  • 日本政府観光局の特別顧問です。

今、日本政府は観光産業に力を入れています。
なぜならば、その規模は170兆円産業と非常に大きく、全世界の10%も占めており、全世界の雇用の約10%を生み出しているからです。
つまり観光産業は、自動車産業と同様に外貨を手に入れる優秀な産業だということです。

今、日本にいる方は、日本政府が観光に力を入れていることを肌で感じているのではないでしょうか?
その日本政府観光局の特別顧問ということは、政府からの信頼も得ているということです。

つまり、彼が信頼できる人物であるということは間違いありません。

まとめ

この記事では、「日本の労働者が買い叩かれている理由」について説明しました。
その状況が長らく続いたせいで、日本は少子化が加速度的に進むことになりました。

でも、そろそろ、その歯車を逆に回さなければいけません。
まずは最低賃金を上げて企業の淘汰を押し進めていきましょう。
それから、みんなで仕事の生産性を高めていけば、きっと今より素晴らしい生活を送れるようになるはずです。
そうすれば、きっと、少子化問題も将来的には解決するはずです。

最近、最低賃金を全国で統一するという話も政府からでてきました。

「最低賃金の統一 → 定期的な最低賃金のアップ → 企業の統廃合」という流れになることを祈っています。

ちなみに、移民を入れると「いわゆる奴隷階級」が増えるだけなので、アトキンソン氏が提唱している理論とは逆の方向に針が揺れます。
つまり、「高い賃金で人を雇えない会社」が残り続けて、生産性の悪い会社が残ってしまうということになります。
それだけは何としても避けたいところですね。

この記事を読んで、もっとこの記事の内容を詳しく知りたいと思った方は、この本を読んで下さい。

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