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10年前にIT棄民されていた企業【トラウマ体験】

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本記事の内容

IT棄民という言葉を聞いて、ふと10年ぐらい前の現場を思い出しました。
今回は、その現場であった怖い話をしようと思います。
私がまだまだ見習いのエンジニアだった頃で、2007年ぐらいの話です。

10年前にあった恐ろしい現場

当時の現場の状況

仕事の発注元;カタログ会社
仕事の受注元;〇〇商事のテック部門(Sier)
自分の所属先;〇〇商事のテック部門の下請けであるテンプ会社

私はテンプ社の社員で、京都にあったカタログ会社に派遣されました。
そこでは、私は〇〇商事の人間ということになっています。

カタログ会社では、自前のエンジニアは、ほとんど抱えていませんでした。
そのため、多くのエンジニアがどこからか派遣されていました。
自分が知っている限りでも、〇〇商事以外に5社は入っていたと記憶しています。

正社員はほとんどおらず、現場のリーダーのように見える人でも派遣社員でした。
直接雇用の派遣社員もいたはずですが、その区別は、私にはつきませんでした。

そういった現場では、身分を隠す傾向にあるので、お互いの身分がわからないのは普通です。
残業は常にみんながしており、夜の22時ぐらいになっても、多くの従業員が残っていました。

私が所属していたチーム

私が所属していたチームの構成はこんな感じでした。

〇〇商事のリーダー。東京からたまに出張で来る。
〇〇商事に雇われている派遣社員のサブリーダー。東京からたまに出張で来る。
東京から来ているテンプ社のチーフ。
東京から来ているテンプ社のスタッフが数名。
大阪から来ているテンプ社のスタッフが数名。

こんな感じだったので、命令系統はあってないようなものでした。
なんせ、トップ2 が現場にいないので、なかなか現場がまわりません。
私はテンプ社のチーフの元で働いていましたが、何とも頼りない感じでした。
テンプ社のチーフも、被害者の一人だったと思います。

隣にいた別の会社

話は少しズレますが、隣のシマには、A社の従業員が10人ぐらいいました。
お互いに顔見知りなので、休憩室で雑談していたところ、面白い話を聞けました。
A社は、一度はカタログ会社との契約をうち切ったそうです。
その理由は、単価が安くて交渉が決裂したからです。
ところが、カタログ会社はA社がいないと仕事がまわらないことに、A社がいなくなってから気付いたそうです。
「何ともおそまつな話だな」と思った記憶があります。
そして、カタログ会社は単価アップの要求をのんで、A社を呼び戻したそうです。

事件は起こった

当時、カタログ会社は、IT化の波にのって販売のEC化を進めていました。
そんな中、我々の仕事は、ECサイトに必要な画像をアップロードするというものです。
それがエンジニアの仕事だとは思えませんでしたが、まずは現場の仕事を覚える必要があるということで、その仕事をやりました。

しかし、その仕事は悪魔的でした。
なんと、画像が保存されているファイルサーバーにあるフォルダを開こうとすると、それだけで10分もかかったのです。
それをローカルに保存するだけで、また1分はかかる。
ECサイトには、多くの画像をアップロードする必要があります。
それにも関わらず、6枚の画像をアップロードするだけで、1時間が終わってしまいます。
それは、私が一日にできる作業は、「わずか50枚弱の画像をファイルサーバーからダウンロードしてきて、ECサイトにアップロードすることだけ」ということを意味していました。

初日は、あまりの非効率さにビックリしたことを鮮明に覚えています。
これは流石に駄目だろうと思って、「Windowsでバッチプログラムを作って、ファイルサーバーから画像をダウンロードする作業」を自動化しようとしました。
そうすれば、作業は並列化しやすいし、画像のダウンロードを待っている間に他の作業もできると思ったからです。
そうして、何とか週末にバッチプログラムを作りました。
「エンジニアの怠惰」を実践していたはずです。

ところが、その仕事は評価されませんでした。
誰かが「私が現場のやり方を無視している」と〇〇商事のリーダーに報告したせいで、私が悪者扱いされたからです。
現場にいたテンプ社のチーフには報告していたので、私には何がおこったのかサッパリわかりませんでした。
どうやら、テンプ社のチーフから〇〇商事のリーダーには話が伝わっていなかったみたいです。
そうして、俺は現場を去ることになりました。
悔しかったけど、ホッとしたというのも正直な気持ちだった気がします。

それから

それは私にとっては嫌な思い出だったので、その現場での出来事はスッカリ忘れていました。
ただ、IT棄民の記事を見て、ふと、その企業と現場のことを思い出し
て、決算を見てみました。
案の定というか、そのカタログ会社は他社に買収されていました。
そして、赤字を垂れ流しているようです。
「さもありなん」というのが正直な感想です。

Sierが現場を仕切っていて、ロクに現場を見ようとしない。
そして、リーダーがたまに現場に来たと思えば、前向きな取り組みをしようとしているエンジニアを放り出す。
Sierの関心は、業務の効率化ではなく、カタログ会社に何人のエンジニアを派遣できるかです。
発注元が儲かるかどうかは、Sierには何の関係もありません。

そのような現場と会社に未来があるはずもありません。

こういった「エンジニアの怠惰」を嫌う人達の話をたまに耳にすることがあります。
そんな現場に出会ったら、エンジニアは全力で転職を考えるべきです!

先進的な会社では、エンジニアは全力で業務の効率化を考えています。
業務の効率化をした上で、さらに新たなテクノロジーの恩恵を受けられる方法がないかを模索してます。
そんな状況の中で、業務の効率化を考えないということは、「竹槍でB29と戦う」と同じことです。

それを、さきほどの現場に当てはめて考えてみます。
この2つが私のやっていた作業です。

  • 50枚弱の画像をファイルサーバーからダウンロードしてくる。
  • 50枚弱の画像をECサイトにアップロードする。

この作業を自動化をすれば、人がやる必要もなくります。
せいぜい、最後に目視で確認をするぐらいの作業が残るぐらいです。
その場合の作業時間は、10分もあれば十分です。
でも、カタログ会社では、10分で終わる作業を480分もかけてやっていました。
それを金銭的に考えれば、50万で済む作業に2,400万もかけていた計算になります。

さらに言えば、目視はエンジニアがやる必要もないので、費用の差はもっとあるかもしれません。
金銭面の差は、100倍ぐらいあったのかもしれません。
つまり、業務の効率化をする会社としない会社では、100倍以上の金銭的な差が出てくるということを意味します。
100倍もの差があれば、業務を効率化しない会社の未来は倒産しかありません。

大事なことなので、もう一度、言います。
「エンジニアの怠惰」を嫌う会社からは、全力で逃げよう!
その先に待っているのは地獄です。

いつもの蛇足ですが、エンジニアは、今はWeb業界では引っ張りだこです。
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