記事の内容
この記事では、企業がやってきた追い出し部屋という名のリストラの歴史を見ていきたいと思います。
日本では、企業が従業員を解雇できないため、従業員に自発的に会社を辞めてもらう必要があります。
その時に企業は、辞めて欲しい従業員を精神的に追い込むために、「追い出し部屋」に送ります。
追い出し部屋は、キャリアデザイン室と呼ばれることもあります。
この記事を読むと、多くの企業が追い出し部屋を利用していることがわかります。
目次
東芝(2019/6/15)
対象の条件と人数
対象;勤続10年以上で45歳以上で、上司に応募を促されながら拒んだ社員。
対象人数;20人
経緯
原発事業の失敗
作業内容
研修として社外の人材コンサルタントらの講義を受ける。
経営環境の厳しさを理解して、配属を前向きに考えるよう求められた。
自分を省みて変えるべき点を同僚に表明し、作文にもまとめる。
その後、各社員に対し、応援先として新潟県の電池工場やグループ外の物流倉庫が示された。
5月からそこに出向き、運搬や仕分けなどの作業を命じられている。
社員の感想
若い働き手にまじって作業をしている男性は
「不慣れな肉体労働で疲労がたまる。
こんな作業を続けていても先が見えない」
とこぼす。
提訴した社員の主張
小里さんはIT技術者だったが、配属後は他社の倉庫に出向して箱詰めなどの重労働をさせられている。
違法な人事権の乱用ではないか?
田辺三菱製薬(2019/3/18)
対象の条件と人数
50代男性社員
対象人数;1人
経緯
個人情報の入ったDVDを上司が紛失したことをコンプライアンス推進室に相談。
作業内容
人事部内の部署に配属されたが、履歴書の書き方を習わされるなどの研修を1カ月ほど受けた後は、出勤しても何の業務もなかった。
社員の感想
精神的苦痛を受けた
森永乳業(2018/12/19)
対象の条件と人数
40代男性社員
対象人数;2人
経緯
森永乳業の子会社の洋菓子製造業「シェフォーレ」の男性社長によるパワーハラスメントを内部告発。
作業内容
他の従業員と隔離された監視カメラ付きの「追い出し部屋」で働かされ、草刈りや産業廃棄物の処理といった業務を担当。
社員の感想や状態
うつ状態になり、通院している。
三越伊勢丹(2017/4/19)
対象の条件と人数
部長クラスが数人、課長・係長クラスが20人以上、定年間近の人から30代の人まで様々。
対象人数;50人以上
経緯
三越と伊勢丹の合併時にバックオフィスの人間が増えすぎてしまったことはよく認識しており、減らさなければならないと考えていました。
作業内容
サポートチームに追いやられた私の同僚は、4月3日、日本橋のオフィスへ出社した後、午前中にごく簡単なオリエンテーションを受け、さっそく三越日本橋本店の売り場の『お手伝い』をさせられたようです。
それまでお得意様の営業をやっていた奴が、新入社員がやるような棚の整理なんかをやらされる。
社員の感想や状態
『なんで俺なんだよ。もっとほかに来るべき奴がいるだろ』と嘆いていました。
大和証券(2015/5/14)
対象の条件と人数
40代男性社員
対象人数;1人
経緯
特になし
作業内容
男性の境遇も似たようなものだった。
肩書こそ営業部員だが、毎朝開かれる「朝会」や月に1度の「コンプライアンス会議」への出席は認められない。
部内の連絡網に名前がなく、歓送迎会や忘年会には呼ばれない。
パソコンからは営業部員らが業務上の情報を保存・共有しているファイルサーバーにアクセスすることができない。
与えられた仕事は新規の顧客獲得のみ。
飛び込みで1日100件の外回りを目標にするよう指示された。
社員の感想や状態
特になし
mixi(2013/10/23)
対象の条件と人数
追い出し部屋の人数;30人?
経緯
不明
作業内容
午前中に突然の席替えを行い、対象者を執務室から追い出しす。
そして、コールセンターみたいなところへ配属。
PCを回収してネットの繋がらない部屋へ移動させ、よくわからない作業を延々と。
ちなみに同部署以外の社員との接触は以後禁止。
配属後は、退職を希望するまでそこで働くことになるそうだ。
社員の感想や状態
特になし
パナソニック(2013/1/14)
対象の条件と人数
対象年齢;30~40代
リストラされた人数;70,000人
経緯
不明
作業内容
おもな仕事は、ほかの部署への「応援」だ。
要請があれば駆けつけて、製品を梱包(こんぽう)する単純作業などをこなす。
応援要請がないと、することはほとんどなく、終業時間が来るのを待つしかない。
社員の感想や状態
特になし
リコー(2011)
対象の条件と人数
対象年齢;45歳以上
リストラされた人数;1,600人
追い出し部屋の人数;152人
経緯
不明
作業内容
ある日突然、物流倉庫に飛ばされ、人材派遣会社の日雇いの若者たちに交じって、量販店へ送る製品を段ボールに梱包したり、真冬の寒い中、重い商品を持ち運ぶ、といった畑違いの肉体労働に従事するようになってしまった。
社員の感想や状態
特になし
ソニー(1997 - 2014)
対象の条件と人数
リストラされた人数;78,000人
経緯
不明
作業内容
そこに送り込まれた社員は自らのコネで社内の受け入れ先を探すか、早期退職して転職先を見つけるか、あるいは何と言われても居座り続けるかの3つの道しかない。
いずれにせよ、キャリア開発室に通う面々は会社から早々に出ていくことを期待されていたから、その部屋は社員から「追い出し部屋」と呼ばれていた。
社員の感想や状態
特になし
参考文献
まとめ
この記事では、過去数年間の追い出し部屋の歴史についてまとめました。
思ったより情報が出てきせんでしたが、表に出てこない情報がもっとあるのかもしれません。
少なくとも、平成という時代の間は、多くの日本企業は終身雇用をうたっていたので、従業員を解雇することができませんでした。
そのため、売上が下がってリストラの必要に迫られた会社は、従業員に「こんな会社は辞めてやる!!!」という精神状態に追い込むことは仕方がなかったのかもしれません。
解雇規制が緩和されない限りは、令和になってからも、「追い出し部屋」は残り続きそうです。
追い出し部屋は、誰の身にも起こりうるので、十分に気を付けておきたいところです。
また、追い出し部屋に対する自衛策は、追い出し部屋に送られたとしても、いつでも転職できるだけの能力を身につけることかなと、私は考えています。
常日頃から、スキルの研鑽を重ねておきたいですね!
Good luck!
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