記事の内容
男女の差について考えている時に、「でも、それって人それぞれだよね」といった意見の人をよく見かけます。
例えば、「女性の方が男性より言語能力は高い」という意見があったとして、その返答で「でも、女性でも言語能力が低い人もいますよ」と言う人がいます。
この意見は両方とも合っているのですが、論点はズレています。
どうして論点がズレているのか?
そして、どうすれば論点が合って噛み合った議論ができるのかを書いていきたいと思います。
全体的に観た男女差
まず、最初に下記の図を見て下さい。
これは、「男らしさと」と「女らしさ」の分布を表しています。
グラフの左の方に行くほど「女らしさ」が強くなり、右の方に行くほど「男らしさ」が強くなります。
統計的に男女全体を見れば、男女らしさはハッキリと別れていると言えます。
これだけでは、ちょっとわかりづらい人もいると思うので、もう少し具体的にこの図について説明します。
具体的な図の説明
- 左の方にいくほど、(女性らしさの特徴である)言語能力が高い
- 左の方にいくほど、(女性らしさの特徴である)共感能力が高い
- 右の方にいくほど、(男性らしさの特徴である)攻撃性が高い
- 右の方にいくほど、(男性らしさの特徴である)空間把握能力が高い
次に男性と女性の数学能力の違いについて説明します。
この図からは、「男女の数学能力に大きな差はないものの、トップ層に近づくにつれて男性の人数が多くなること」がわかります。
統計的な数字では、男女差があることは明らかなので、それを元に何かを考えるというのは、非常に重要なことです。
部分的に観た男女差
ただし、着目点が変わると見方も変わってきます。
下記の図の中で、青い点の男性と赤い点の女性を比べてみると、男性の方が言語能力が高いという逆転した現象も見られます。
これをもってして、「男性でも女性より言語能力が高い人がいる」と言う人もいるのですが、大きな物事を考える時にはあまり意味がないのは明らかです。
こんな場面はどっち?
今までのところで、全体的に観る話と部分的に観る話をしました。
どちらがいいという話ではないので、どの場面で、どちらを使った方がいいのかということを考えてみたいと思います。
婚活の話
まずは婚活の話です。
例えば、自分が気になった男性が40歳以上で結婚歴がなかったとします。
統計的に全体を見れば、「40歳以上の男性で婚姻歴がない人は、どこか変」というのは、おそらくは正しい言説だと思います。
でも、それはあくまでも統計的な話です。
1,000人の未婚男性と1,000人の結婚している男性を比較すれば、統計上は正しさが証明されるはずです。
でも、統計には偏りがあります。
そのため、目の前にいる男性が、「40歳以上の男性で婚姻歴がない人」であったとしても、その人が既婚者よりも素晴らしい人である可能性は十分にあります。
そのため、40歳以上の男性が気になっているならば、それまで未婚だった理由を聞いてみることがいいと思います。
結婚する男性は一人だけなので、婚活では部分的に観ることをオススメします^^
転職活動の話
次に転職活動の話です。
例えば転職活動で、ある会社の面接に落ちたとします。
そして、面接を受けた会社は、あなたを落とした理由を教えてはくれません。
その時にネガティブな人だと、一社落ちただけで色々なことを考えてしまいます。
- 面接での態度が悪かったのかも?
- スキル不足だった?
- 職務経歴書の書き方が悪かった?
でも、そんなことを深く考える必要はありません。
これらの理由は、せめて5社から10ぐらい落ちてから考え始めましょう。
なぜならば、部分的な一社のことだけを考えても、あまり意味がないからです。
こういった理由だって考えられます。
- もう一人の候補者が素晴らしかった
- 実はすでに候補者が決まっていた
- 人事部の面接数稼ぎで、最初から採用する気はなかった
転職転職でも、ある程度は部分的に観ていきましょう。
ただ、全体的に観ることも大事なので、その場合は転職エージェントを使うことをオススメします。
学校教育の話
学校の体育の成績では、男女は完全に別に評価されています。
これを当たり前として私達は捉えていますが、「当たり前」として捉えてしまうのは思考停止です。
多くの男性が女性より身体能力が優れているのはわかります。
でも、だからといって、そこで女性にゲタを履かせる理由は、よくわかりません。
英語の能力を統計的に見れば、女性の方が男性より優れていることは明らかです。
ということは、英語教育においては男性にゲタを履かせてもいいわけです。
しかし、そういったことは議論されません。
本来は体育や英語の能力の差を統計的に観た上で、〜以上の差がある場合は片方の性別にゲタを履かせるという判断をすべきです。
教育は全体的に観る必要がありますが、体育だけではなくあらゆる男女差を確認していくべきです。
言語が苦手な男性に英語を勉強させても仕方がありません。。。
とはいえ、優秀な男性が英語を勉強すべきなのは、言うまでもないことです^^
在日韓国人の話
最近ではあまり聞かれなくなりましたが、過去の日本で在日韓国人の話が問題になっていました。
差別を助長するわけではありませんが、統計的にみると在日韓国人は、日本人より犯罪率が高めです。
また、日本では外国人扱いだったので、在日韓国人は生まれた時に指紋を採取されていました。(今は廃止されています)
つまり、こういう状況です。
ポイント
- 統計上は在日韓国人の犯罪が多い
- 全ての韓国人が悪いわけではない
この場合、統計上は韓国人を警戒した方がいいのですが、政治的、人道的な見地からは、そういったことは許されません。
全体を観るのか個別に観るのか、今の所は誰も判断ができません。
ただし、中国のように「個人の信用スコア」というものが導入された場合は、統計に関係なく個人が判断されるようになるかもしれません。
つまり、「在日韓国人だけど、あの人は信頼できる在日韓国人です」となるわけです。
ちなみに、スケールは異なりますが、アメリカの黒人問題も同じ構図です。
黒人の犯罪率は明らかに高い、でも全ての黒人が悪いわけではいという状況になっています。
アメリカでもその問題を解決できていませんが、住み分けなどをすることで、多少は問題を少なくしているようです。
まとめ
この記事では、一般化する時の考え方やその使い方について説明しました。
改めてまとめると、ポイントは以下の3つです。
これらのポイントを意識していると、他人とチグハグの会話をしないでよくなるはずです^^
3つのポイント
- 統計的に有意なのか?
- 有意差を考えるべき場面なのか?
- その有意差を元に、政治的・社会的な対応をしていいのか?
なお、この記事で使っているグラフは、これらの本を引用しました。
Good luck!