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ダイビングで使う耳抜きのメカニズムを説明します(主にフレンツェル法)

更新日:

耳抜きって、どうやればできますか?


記事の内容


ダイバーやフリーダイバーのために、耳抜きの方法をお伝えします。
フレンツェル法はもっとも効率の良い耳抜きの方法で、主にフリーダイバーが使います。
最初は少し難しいので、まずは他の耳抜きの方法を覚えるといいかもしれません。

耳抜きとは

耳抜きとは、鼓膜の内側と外側に生じた圧力差を解消する方法です。

水中に潜ると、耳に水圧がかかるので、鼓膜にプレッシャーがかかります。
そのため、深く潜るほど耳が痛くなります。
その外からのプレッシャーに対して、内側から耳管に空気を送ることで、プレッシャーをなくすのが耳抜きです。
簡単に言えば、耳管に空気を送ればよく、イメージ的には「喉から鼻に空気を送る」という感じになります。

飛行機によく乗る人は、気圧差で耳が痛くなることを経験したことがあるはずです。
それを解消するのが耳抜きです。

バルサルバ法

口を閉じて鼻をつまみながら、ゆっくりと鼻をかむような感じで、鼻に空気を送ります。
そうすることで、耳管に空気が送られます。
強く鼻をかむと鼓膜を痛めるのと同じで、強くやると鼓膜を痛めるので、ソフトにやって下さい。

「鼻をかむイメージ」もしくは「横隔膜から喉と鼻に空気を送るイメージ」を想像すると上手くいくと思います。

バルサルバ法では、横隔膜と顔の筋肉の両方を使っているのが特徴です。

トインビー法

口を閉じて鼻をつまみながら、ツバを飲み込みます。
ツバを飲み込むと、口腔内の圧力が調整されて、耳管に空気が送られます。

トインビー法では、顔の筋肉と内臓の筋肉を使っています。



フレンツェル法(Kロック法)

最後に、いくつかあるフレンツェル法を一つ一つ紹介していきます。
フレンツェル法は、クビから上だけの筋肉を使って行うのが特徴で、最もフリーダイビングに向いている耳抜きと言えます。
なぜならば、深いところに潜るためには内蔵のリラックスも重要で、20mより深いところで内蔵などの筋肉を使うことは危険とされているからです。

  1. 最初に、声門を閉じます。
    声門を閉じるイメージがわかない人は、「ああああ〜」と発声している時に、喉を閉じて下さい。
    男性ならば喉仏を上にあげる感じです。
    声が出なくなったら、声門が正しく閉じている証拠です。
  2. 次に、口を閉じて鼻をつまみながら舌の奥を上方に押して下さい。
    そうすると行き場のなくなった空気がAの空間に流れこみます。
    その空気が耳管にも流れ込めば、耳抜きは成功です。


フレンツェル Kロック

フレンツェル法(Tロック法)

  1. 最初に、声門を閉じます。
    「ああああ〜」と発生している時に、喉の奥を閉じて下さい。
    声が出なくなったら、声門が正しく閉じている証拠です。
  2. 次に、口を閉じながら舌の先端を前歯の後ろにつけて下さい。
    Tロック法の場合、Kロックとは舌の位置が異なります。
    それから、鼻をつまみながら舌の奥を上方に押して下さい。
    そうすると行き場のなくなった空気が耳管に流れこみます。

TロックとKロックの違いは、ソフトパレット(軟口蓋)と呼ばれる部分が開いているか、閉じているかです。
Tロックの方が、口腔内にあるより多くの空気を耳抜きに使うことができます。
そのため、慣れてきたら、Tロックを使うようにしましょう。

フレンツェル Tロック

フレンツェル法のコツは、声門とソフトパレットのコントロールを意識して別々にすることです。
最初はKロックで覚えて、次第にTロックに変えていくとよさそうです

フレンツェル法(Hロック法)

舌の位置がKロックで、ソフトパレット(軟口蓋)がTロックのように開いている場合は、Hロックと呼びます。
Hロックは、口の中の空気がほとんど無くなった時に、残っている空気を全て押し出すようにして、耳抜きをする方法です。
潜っている時に行われる最後の耳抜きだと、私は考えています。
最後に、口の中にある空気を押し出すようにして行うフレンツェルは、喉や鼻の怪我をしやすいので、十分に気を付けて下さい。

フレンツェル法とマウスフィル法の使い分け

フレンツェル法とマウスフィル法の使い分けについても説明しておきます。

15m〜20mぐらいまではフレンツェルで耳抜きをして、15m〜20mの間ぐらいでマウスフィルで空気を口に溜め込む方法が一般的です。
なぜならば、マウスフィルで口に空気を持ってこられる限界は、おおよそ30mぐらいだからです。
でも、30mの深さになってからマウスフィルで口に空気を持ってくるのは肺に負担がかかるのであまり推奨されません。
そのため、15m〜20mの間ぐらいでマウスフィルをして、そこからは口の中の空気だけを使って、臓器に負担をかけずに耳抜きを行います。

その耳抜きの流れを改めて説明すると、以下のようになります。

耳抜きの流れ

  1. 15m〜20mまではフレンツェル(Tロック)
  2. 15m〜20mからは、マウスフィル
  3. マウスフィルの耳抜きで限界がきたら、フレンツェル(Hロック法)
    最後のフレンツェルは、喉や鼻腔の怪我をしやすいので、やらない人もいます。

マウスフィル法を詳しく知りたい人は、この記事を読んで下さい。

まとめ

この記事では、4つの耳抜きのやり方を紹介しました。
普通にダイビングをしている人は、バルサルバ法かトインビー法でいいと思います。

ただし、フリーダイビングや素潜りをしている人は、安全のためにもフレンツェル法を覚えるべきです。
この記事を読みながら、何度も練習してみて下さい。
「自分がバルサルバ法を使っているのかフレンツェル法を使っているのかわからない」という方もいると思いますが、その時は、耳抜きをしている時に、横隔膜を触ってみて下さい。
フレンツェル法を使っている人は、横隔膜が動きません。

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