この記事では、日本の為替レートの話や、これから日本がさらに貧乏になっていくという話について書きます。
この記事は、2022年9月に書いています。
為替レートの話
世界の主要通貨に対する円の通貨としての総合的な実力をあらわす「実質実効為替レート」でみると実に51年前の水準に低下しています。
BIS=国際決済銀行が公表した7月の「実質実効為替レート」は、58.7となりました。
これは、変動相場制に移行した1973年2月よりも前の1971年8月以来、およそ51年ぶりの低い水準です。
実質実効為替レートは、より詳細に円の実力を表している指標です。
なぜこの指標が大事なのかと言えば、1970年の「1ドル100円」と2022年の「1ドル100円」では、意味が違うからです。
日本では、あまりインフレはしていませんが、アメリカではインフレが進んでいるために、1ドルで購入できるものが昔と今とでは異なります。
つまり、昔は1ドルでジュースを買えたかもしれませんが、今では1ドルではジュースを買うことができません。
そのため、そういった物価の変化も考慮した上で、為替レートを表したものが、実質実効為替レートです。
その実効為替レートが、2022年9月と1971年8月では、同じ値になっています。
1971年の為替レートを見ると、「1ドル355円」でした。
2022年の為替レートを見ると、「1ドル144円」でした。
それを表にすると、以下のようになります。
年 | 為替レート | 実効為替レートで考える |
1971 | 1ドル355円 | 1ドル355円 |
2022 | 1ドル144円 | 1ドル355円 |
「1ドル355円」と「1ドル144円」を比べてみて、今が円高のように見えますが、実はそうではありません。
実際には同じ水準になっています。
少し言い方を変えれば、「1971年にハワイ旅行に行く大変さ」と「2022年にハワイ旅行に行く大変さ」は同じだということです。
日本は今、本当に貧乏な国になっていますし、今後もそれが止まることはないでしょう。
10年後には、1ドル400円、1ドル500円の時代が来ても、全くおかしくはありません。
(あくまでも、昔のドル円レートベースで考えた場合の話ですが。)
日本人のマインドセットの話
これまでに説明したように、日本は、今、坂道を転がり落ちるように貧乏になっています。
そして、さらに怖いことは、日本人がそれに無自覚なことです。
資本主義社会の話になれば、以下のツイートに見られるように、格差社会が否定されて、ほぼ共産主義に近いような意見が、みんなからの人気を集めてしまいます。
耳障りのいい意見とは、人気があるものですが、これでは国民全員が貧乏になるだけです。
最近、株主資本主義を批判すると「能力のある人間は雇う、そうでない人は知らん」ということを平気で言う人がたくさん現れるようになった。新型コロナの流行が始まってから昨年までは、こうした反応は鳴りを潜めていたのたが、今年に入ってから息を吹き返し、参院選で自民党が勝ってからとても元気。
— shinshinohara (@ShinShinohara) September 12, 2022
また、最近の若者はあまり出世を望まないそうです。
調査会社によれば、7割以上の人が出世を望まないとか。
それは若者が変わったというよりは、政策の問題です。
出世しても給料は、あまり変わらない。
給料が上がっても、累進課税のせいで、手取りの給料は大して変わらない。
そして、正社員としての地位は保障されている。
それでは、プライベートを優先する若者が増えるもの当然です。
最近は、男性でも育児や子育てをしないといけないことも関係しているでしょう。
ここまでの部分をまとめると、今の日本社会はこのようになっています。
- 日本人は格差社会を嫌う
- 日本の会社は、職務や地位で、あまり給料に差をつけない
- 日本は税金が高くて、累進課税
- 正社員の雇用は保障されている
- ポリコレで、男性も家事や育児に積極的に参加しなければならない
こんな状況では、仕事を頑張る人は減る一方です。
そして、日本はますます、貧乏になっていくのでしょう。
将来の為替レートがどうなっているのか、本当に心配です。
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目次1 1990年から2000年まで2 2000年からの20年間3 まとめ 1990年から2000年まで 1990年代は、日本は金融政策で大損した時代です。 金融で失敗したので、成長どころではありませんでした。。。 主な2つの要因を説明しま ...