記事の内容
日本経済はデフレなので、サラリーマンの給料は、下落もしくは停滞している状況です。
それにも関わらず、エンジニアの給料は上がり続けています。
その理由をシンプルに言ってしまえば、エンジニアの需給バランスが崩れているからです。
この記事では、その需給バランスについて詳しく説明します。
アメリカのエンジニアの給料
現在、アメリカのエンジニアは給料が上がり続けています。
Netflixでは、社員の年収の平均は、ボーナスも含めると5,000万円を越えているというツイートが話題になりました。
それとは別の記事(給料が高いIT企業 TOP10)ですが、ここにはアメリカ企業の年収が書かれています。
アメリカの企業の年収
- Netflix 約 3,540万円
- Lyft 約 3,400万円
- Dropbox 約 3,395万円
- Uber 約 3,170万円
- Facebook 約 3,120万円
- Pinterest 約 3,090万円
- Airbnb 約 3,070万円
- Microsoft 約 3,050万円
- LinkedIn 約 2,970万円
- OpenTable 約 2,850万円
日本企業の年収とは圧倒的な大差がついています。
アメリカに住むと物価が高いとは言いますが、彼らにとってのiPhoneは普通だとしても、我々にとってのiPhoneは高級というのが現実です。
なんとなく悲しくなりますね。
ちなみに、大手の企業がここにランクインしていないのは、株で給料の一部を支払っているためだと思われます。
アメリカで働くエンジニアの年収を見たい人は、この記事(【2020年版】給与や満足度が高いテック系の仕事トップ20)も参考にして下さい。
次に日本のエンジニアの給料を紹介します。
日本のエンジニアの給料
アメリカのような情報がないので、dodaからの情報を見てみましょう。
日本のエンジニアの年収
- プロジェクトマネジャー 670万円
- プリセールス 617万円
- ITコンサルタント 608万円
- IT戦略・システム企画 584万円
- 研究開発 572万円
- データサイエンティスト 528万円
- システム開発・運用 490万円
- サーバーエンジニア 468万円
- ネットワークエンジニア 460万円
- Webサービスエンジニア 434万円
- スマホアプリ・ネイティブアプリ系エンジニア 418万円
思ったより安いですね。
しかも年収が上位の職種は、コードを書かないものばかり。
非常に残念な現実です。
しかしながら、肌感ではありますが、東京ではWebエンジニアの給料は上がってきています。
グーグルやAmazonといった有名な外資系では、1,000万円越えは普通です。
サイバーエージェント、DeNA、グリー、LineといったメガベンチャーのWeb系では、600万を越える年収が当たり前になってきています。
フリーランスで、月収が90万円以上というのもよく見掛けるようになりました。
新卒の場合だと、エンジニアの場合は、年収が400万円以上というのも都内では一般的になりつつあります。
端的に言えば、Web系の企業では給料が上がっているのですが、どうしてこういった現象が起きているのでしょうか?
それを理解するために、まずは、ここ20年におけるIT企業の歴史について見ていきましょう。
世界のIT企業の成長
IT企業は2000年ぐらいから、ものすごい勢いで成長しています。
アップルは、先日、100兆円企業になりました。
1996年には倒産しかかっていたので、この20年間で100兆円の価値を生み出したことになります。
他にも上位の企業をいくつか並べてみましょう。
アメリカ企業の時価総額
- Apple 140兆円
- Microsoft 130兆円
- Google 100兆円
- Amazon 100兆円
- FaceBook 65兆円
この5社だけを見ても、合計で約535兆円もの価値がアメリカで生み出されています。
ちなみに、日本の一位であるトヨタの時価総額は25兆円で、日本の東証の時価総額は660兆円です。
つまり、日本の上場企業の80%にあたる価値が、このわずか20年間に、アメリカのIT企業から生み出されてたということになります。
追記 GAFA+Microsoftの時価総額、東証1部超え(2020/5/8)
5社の時価総額は合計で約5兆3000億ドル(約560兆円)に達し、東証1部(約550兆円)を初めて超えた。
それは何もアメリカに限った話ではありません。
お隣の中国でも時価総額の高い企業が生まれていきています。
中国企業の年収
- アリババ 60兆円
- テンセント 50兆円
アメリカや中国のIT企業が、いかにここ20年間で成長してきたのかがわかります。
参考までにですが、日本での時価総額がトップの企業はトヨタの20兆円です。
トヨタすら圧倒的に負けているという現実を、我々、日本人は知っておく必要があります。
IT産業は成長し続けています
今まで説明してきた通り、時価総額という物差しでIT産業が拡大してきたことは、わかって貰えたはずです。
それを我々の生活を通しても、見てみましょう。
IT産業の中でも、その成長を牽引しているWebに焦点をあてて見ていきます。
昔のWebは、パソコンでIEを使って、Webサイトを見るというものでした。
それがスタートです。
それから、Webはどのように我々が住む世界に影響を与えたのでしょうか?
Web黎明期。2000年あたり
Webの黎明期
- パソコンでIEを使ってWebサイトを見る。
Webの流行り始め。2000年代の序盤から中盤
Web2.0の時代
- PCを使って情報にアクセスする。(Google)
- PCを使って買い物をする。(Amazon)
- PCを使って人と繋がる。(Facebook)
- PCを使ってオフィスワークを助ける。(Microsoft)
Webが生活と一体化する。スマホが流行り始めた頃(2010年頃)
スマホの時代
- スマホを使って情報にアクセスする。(Google)
- スマホを使って買い物をする。(Amazon)
- スマホを使って人と繋がる。(Facebook)
- スマホを使ってビジネスを助ける。(Microsoft)
- スマホのアプリを使って、シェアリングエコノミーが一般的になる。(Uber, Airbnb)
- スマホのアプリを使って、教育を改革する。
- スマホを使って決済が簡単にできるようになる。
ザックリとした説明ですが、ここ20年間で「Web業界の範囲」は大幅に拡大しました。
Web業界は、我々の生活の隅々まで入ってきており、その流れは今後も続きそうです。
私が予測できる範囲で、これから起こることも簡単に説明しておきます。
Web業界のこれから。2020年以降に起こること
2020年以降の世界
- インターネットを通じて、あらゆる家電が繋がる。(Amazon, Google)
- 車の自動運転が一般的になる。(Google)
- コンビニの自動化が進む。(Amazon)
- AIによる患者の診察が進む。
- PCからもテレビが見られるようになる。
私のような凡人ですら、これだけの将来が予測できるのですから、天才達はもっとスゴイ未来を描いているかもしれません。
また、以下に書いたように、産業の垣根がなくなりつつあります。
Googleのライバルはトヨタです。
Amazonのライバルは、セブンイレブンです。
規制緩和が進めば、Amazonが銀行業に参入して、三菱UFJ銀行と争うこともありえます。
サイバーエージェントのライバルはフジテレビになるかもしれません。
このように、今まで以上にWeb業界?は拡大していきます。
Amazonが描く未来については、こちらに書かれてます。
ところで、この20年間、日本企業は何をしていたんでしょうか?
その問題についても捕捉しておきたいと思います。
日本企業はエンジニアを育ててこなかった
日本の大手企業は、この20年間、ビジネスを育ててこなかったし、エンジニアも育ててきませんでした。
多くの企業がやっていたのは、既存のビジネスの踏襲ならびにエンジニアの派遣です。
例えば、富士通のようなSier企業がエンジニアを雇い、そのエンジニアをメーカーに派遣していました。
そして、お金を中抜きしていたのが、Sierの手掛けていたビジネスです。
エンジニアが「IT土方」と呼ばれていたのは、このためです。
こういった産業構造では、「コードを書くエンジニア」は大切にされないし給料も上がらないので、多くのエンジニアがマネージメント側に周りました。
エンジニアであることをやめた人達も多くいるはずです。
一方で、Web企業の待遇もよくありませんでした。
2010年ぐらいまでは、「プログラムは、一度作成して、納品したら終わり」というのが一般的だったためです。
そのため、「プログラムを納品した後は、エンジニアは社内で冷遇される」というのはよく聞く話でした。
私の場合も、作業を急かされて、残業をさせられた挙げ句、その作業が終わったら冷遇されるといった経験をしたことがあります。
そういった環境があちこちで起こっていたのが2010年以前です。
そのような環境で、エンジニアが育つはずもありません。
その流れが変わり始めたのはスマホが生活に浸透してきた頃です。
次第に、「プログラミングは納品してからも改善を続けるもの」という意識がWeb企業に芽生えてきて、それと共にエンジニアが重宝されるようになりました。
そのような流れの中で、一斉にあらゆる企業が、エンジニアを雇い始めたのが2013年頃だった気がします。
給料はいつまで上がり続けるのか?
ここまでで、IT業界の状況を説明してきました。
改めて、最近の日本のIT業界をまとめると、このようになります。
ここがポイント
- スマホのおかげで、ビジネス環境が変化した。
- ビジネス環境の変化に気づいた日本企業が、一斉にエンジニアを雇い始めた。
- 日本企業はエンジニアを育ててこなかったので、エンジニアの需給バランスが大幅に崩れた。
この3つが、Web業界で働くエンジニアの給料が上がり続けている原因です。
さて、それはいつまで続くのでしょうか?
残念ながら正確な時期はわかりません。
でも、現時点でわかっていることもあります。
これから起こること
- 今後もWeb業界(IT産業)は拡大していく。
- エンジニアは、なかなか育たない。
- 外国人のエンジニアが日本で働くことは難しい。(外国人はなかなか日本語を習得できないので)
こういった事情を考えると、あと10年はエンジニアの給料は上がり続けそうです。
日本はエンジニアを大切にするという文化自体がないので、ひょっとしたら20年ぐらいは、安泰かもしれません。
「一人のエンジニアに対して、何社から応募があるのか」という指標に有効求人倍率があります。
2019/11月だと、ITエンジニアの有効求人倍率は10倍程度です。
この値がエンジニアの需要と給与に対する一つの指標になるので、気になる人はチェックしてましょう。
また、産業構造が変わるとしたらアメリカからだと思います。
常にアンテナをはって、アメリカの最新情報をキャッチアップするのがよさそうです。
情報にキャッチアップしながら対応をしていけば、何があってもエンジニアとして生き残っていけるはずです。
Good luck with your engineer life!
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