どちらが正しいのでしょうか?
記事の内容
こういった疑問にお応えします。
最初にハッキリと言いますが、資格はあって悪いものではありません。
IT人材白書に書かれている統計では、社員数が300名以上の規模の会社では、7割が情報処理試験をスキルの把握に使っています。
同僚で「データベーススペシャリスト」を持っているエンジニアがいましたが、やはり優秀だったので、私は尊敬していました。
でも、時間とお金がかかるので簡単に資格を取れとも言えません。
この質問に正解はありませんが、私の見解を伝えたいと思います。
IT人材白書に書かれている統計
IT人材白書2017によると、情報処理技術者試験をスキルの把握に使っている企業はかなりあります。
社員数が300名以上の会社では、7割以上の会社が情報処理技術者試験をスキルの把握に使っています。
また、ITスキル標準も同様に、3割から4割ぐらいは使われています。
ということは、エンジニアは、大企業で出世するためには、資格を持っている方がよさそうです。
資格があるとよい点
上で挙げた企業の評価とは別に、資格を勉強して得られることをまとめてみます。
- 体系だった知識を勉強できる。
- 新たな気付きが得られる。
- 就職活動や転職活動で役立つ可能性がある。
体系だった知識を勉強できる
資格を取るために体系的に勉強して、まとまった知識を得るのはよいことです。
例えば、「Linuxを勉強しよう」と思った時に、どこから勉強していいのかわからない人が多いと思います。
その際に「独習シリーズ」をやるのもいいですけど、合わせてLinuC(LPIC)の勉強をすると網羅的に勉強できて、よりよいと思います。
新たな気付きが得られる
実務にそって勉強していくと、正攻法で、よく使われる方法に偏って勉強しがちです。
勿論、仕事をするにはそれでも十分なのですが、たまに、他のことを知っていると便利なことがあります。
また、自分は変化球的なコードを使わないとしても、他人は変化球を使う可能性があります。
仕事をする上で、他人のコードを読む機会はよくあるのですが、新しい知識を得ることでソースコードを読むスピードが上がります。
例えばRubyの場合だと、人によってコードの差異が大きくあります。
Ruby技術者認定試験の勉強をして網羅的に知識を得ておけば、他人のコードが読みやすくなるはずです。
ただ、実務ではググって解決してもよいので、そこまで気にする必要はありません。
就職活動や転職活動で役立つ可能性がある
書類選考の際に、取得した資格の一覧を提出することは一般的です。
職務経歴書に資格が書かれていると、他の人よりプラス評価になることは間違いありません。
でも、逆に言ってしまえば、それだけです。
職務経歴書に、その人のgithubアカウントと作品があってもプラス材料になり、そこに優劣はないように思われます。
簡単にポイントをまとめてみます。
- 資格があると、ちょっとした能力の担保になり、プラスの評価になる。
真面目さと勤勉さをアピールできる。 - スペシャリストレベルの資格を持っていると、転職時に評価されやすい。
- 「基本情報処理を持っているAさん」と「応用情報処理を持っているBさん」の間では、さほど優劣はない。
資格の上下で、そこまで大きく評価に差はありません。 - 「基本情報を持っているAさん」と「githubに作品をあげているBさん」の間では、さほど優劣はない。
資格を持っている人と成果物を持っている人では、評価の差はあまり無い気がします。
資格なんて無意味だという主張
一方で、資格は無意味だという主張もあります。
これは正確に言えば、「資格を取得することに対する費用対効果は悪い」という主張です。
現実に、資格を取得していなくても普通に働いているエンジニアは沢山います。
エンジニアの資格は、何でこんなにも必要とされないのでしょうか?
それには、いくつかの理由があります。
- 試験の範囲が無駄に広い。
例えば、基本情報処理には、Web系、組み込み系、アルゴリズム、ネットワーク、電子回路といった幅広い分野の問題が含まれています。
当たり前の話ですが、Web系の人には組み込み系やアルゴリズム、電子回路の知識は、ほぼ関係ありません。 - 試験が「合格」か「不合格」かの2択しかない。
基本情報処理では59点は不合格で、60点が合格です。
その1点の差に、ほとんど意味がないことは言うまでもありません。
これがTOEICのように、分野ごとに点数が出ていれば、もっと実力がわかりやすいはずです。 - 過去に取得した資格の価値が落ちていく。
Androidの試験やLinuxの試験を5年前に取得していたとしても、今は大幅に情報がアップデートされている可能性があります。
そこが英語の試験とは大きく違うところです。
ITは業界の進化が早いので、技術が陳腐化しやすいという事情があります。
結局、どっちなの?
今までのところ、資格を取得することのメリットや微妙な点を紹介しました。
それを踏まえて、私なりの結論を伝えます。
年収が500万以上の人は、資格を勉強するな!
年収が500万未満の人は、資格を勉強しろ!
少々、乱暴に聞こえるかもしれませんが、これが私の結論です。
何でこういう結論にいたったのかも説明します。
資格をいくら積み上げても、年収はさほど上がりません
例えば、ネットワークスペシャリスト、セキュリティスペシャリスト、データベーススペシャリストを持っている人がいたとしても、一個取るたびに年収が100万ずつあがるわけではありません。
また、中堅どころのエンジニアが、「私は基本情報処理を持っています」と主張したところで、何の意味もありません。
資格を取る意外にも評価をされることは沢山あるので、そちらに自分の時間を費やした方がいいと思います。
英語を勉強したり、OSSのコミッターを目指したり、自分の作品を作るといったことです。
自分が評価される尺度を資格以外にも持ちながら、色々な人から評価される道を選択する方が効果的な時間の使い方です。
年収が(都内で)500万円未満の人は、評価されるためのポートフォリオが足りていません
ポートフォリオを補うために、資格は一つの武器になります。
この場合だと、資格を勉強することに対して、見返りがあるかもしれません。
「私は努力できる人です」「私はこの能力があります」と言ったことの証明には、資格はうってこいです。
LinuxならLPIC、ネットワークならCisco、DBならオラクルなど、様々な資格があります。
それらを積極的に取りにいってもいいのではないでしょうか?
また、情報処理の学位を持っていない人は、基本情報処理試験を取ることで、「私はエンジニアとして最低限のITの知識はあります」とアピールすることができます。
私も職人気質なところがあるので、資格の勉強をすることは決して止めません。
しかし、多くの社会人には時間的な制約があることも事実です。
費用対効果が気になる人は、上記の指針にそって資格の勉強をするかどうかの判断をしてみてはどうでしょうか?
Good luck with your engineer life!
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