邦人がウクライナから避難しなくて(できなくて)、それに対して高市早苗さんがツイートした内容が物議をかもしています。
邦人の中には、飛行機に乗りたかったけれど、コロナウイルス陽性だったせいで乗れなかった人もいるそうです。
高市さんのツイートに対する賛否は、ほぼ半分ぐらいに割れているのですが、その違いはリーダー経験の有無にあると思ったので、この記事で説明していきたいと思います。
(一部は、ヤフーの記事からの引用ですが、今は削除されています。)
物議の概要
ロシアの侵攻が激しさを増す中、新型コロナウイルスに感染したウクライナ在住の日本人女性が、「陽性なら帰国できない」と日本大使館側から言われたと、ツイッターで苦境を訴えている。
感染が分かったときは、日本政府から退避勧告が出ていたが、なぜ対応できなかったのか。
外務省の海外邦人安全課に話を聞いた。
ロシアの侵略開始によって、ウクライナ残留を希望しておられた在留邦人約120名の方々は退避を決意して下さったのかと外務省に確認しましたが、ごく少数の方以外の状況は変わっていないそうです。よって、大使はじめ邦人保護に携わっておられる大使館員も退避できず、邦人の安否が心配でなりません。
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) February 25, 2022
大使館と外務省の対応に対して、ヤフコメでは賛否両論があった。
大使館への賛成意見の要約
別に外務省の対応になんら落ち度はないと思うが。
陽性の人が搭乗すると、他の乗客も乗員も濃厚接触者になるのです。
ハンガリーなりポーランドなり、隣接する国に移動は出来たはず。
大使館への反対意見の要約
この記事には書かれてませんが、ウクライナを脱出できなかったのは、コロナ以外にもご家族の病気などやむを得ない理由があったそうです。
どうか、退避勧告が出てたのにとか「わがままだ」とか「自己責任だ」などの言葉で切り捨てないでほしいです。
官僚主義の情けなさがここにある。
この記事が本当ならば、東京で毎日10,000人以上感染してもはや日常的に珍しくもなくなっているのに、紛争地帯にいる邦人をウイルス感染理由で帰国拒否とは、どんな判断してるんだ。
なぜ意見が割れているのか?
誰もがウクライナにいる日本人全員の無事を祈っていることは間違いないだろう。
それでも、意見が割れている。
「なぜだろう?」と考えたけれど、その理由は想像力ではないだろうか?
想像力と言っても、被害者の気持ちに寄り添う感情移入のことではない。
問題を解決するさいに起こるであろう、様々なことに対する想像力だ。
ウクライナに残っている邦人にも様々な事情があることは容易に想像がつくし、その邦人を助けたいと思うのは人として自然なことだ。
でも、その残された邦人をサポートする大使館の職員の安全は、誰が保障するのだろうか?
大使館の職員だって日本人だし、職員にもきっと家族はいるだろう。
コロナ陽性の人を飛行機に乗せたら、乗務員や他の乗客の安全はどうするのだろうか?
持病を抱えている人にとっては、そのフライトが命を奪うかもしれない。
日本に帰国するために途中で経由する空港でも、コロナ陽性の乗客を受け入れることは難しいだろう。
日本からチャーター便を出したら解決できると考える人もいるかもしれない。
でも、そのチャーター便に乗るパイロットや乗務員をどう確保するのだろうか?
誰もが危険な空域には飛びたくないし、コロナ陽性の乗客を乗せたいとも思わないだろう。
似たような話がイラン・イラク戦争の際にあったけれど、JALの従業員は邦人を助けにイランには飛ばなかった。
その変わりに、トルコ空港の人達が日本人を助けにイランに飛んだのは有名な話だ。
情けない話ではあるけど、JALの従業員を責めるわけにもいかない。
彼らだって自分の命は惜しいだろうし、彼らにも大切な家族がいるのだ。
こうやって、解決方法とその問題点を具体的に想像できる人は、高市氏の意見に賛成するだろうし、大使館職員にも同情するだろう。
でも、単純にウクライナに残っている邦人に感情移入してしまった人は、高市氏の意見に反発しているようだ。
まとめ
冷静に分析すると、日本人一人の命を救うためには、日本人一人以上のコストがかかってしまうことがわかる。
危険地帯にいる日本人をリスクゼロで救う方法などないのだ。
だからこそ特別な任務がある人を除けば、他人に迷惑をかけないように、自分の身は自分で守らなければいけない。
もしくは危険地帯になる前に、早々に退避しなければならない。
問題が発生した時に、様々なことに思いを巡らせて、リーダーが言っていることに従う判断ができる人と、できない人がいる。
様々なことに思いを巡らせて判断ができる人は、過去に数人以上をまとめるリーダーの経験がある人だろう。
リーダーの経験がある人は、「人の意見をまとめて問題を解決することの難しさ」を理解している。
そして「人の意見をまとめることの難しさ」を知っている人は、自分がリーダーではない時にも、あまり無茶なことは言わない。
リーダーの経験がない人は、「人の意見をまとめて問題を解決することの難しさ」を知らない。
そのため、どうしても自分の意見や感情だけに左右されて、クレクレ君になってしまいやすい。
以上のことから私は、多くの人達に一度はリーダーとしての経験を持って欲しいなと願っています。
でも、だからといって何でもかんでも上の言うことに従えと言っているわけではありません。
自分の頭でシッカリと考えた上で判断しましょう。
(ちなみに、一応、言っておくと自分の頭で考えた上で、ウクライナに残ると判断するのは問題ないと私は考えています。
ただし、その場合は連絡を取っている大使館の職員に「私の事は放っておいて下さい」と伝えるのはマナーかなと思います。)