記事の内容
エンジニアの場合、「正社員とフリーランスのどちらがいいのか?」という話をよく耳にします。
予め言っておくと、現場によってケースバイケースなので、確実な正解はありません。
ただし、給与や税制面では大きな違いがあります。
この記事では、「給与や税制」に焦点を当てて説明していきたいと思います。
ただし、私は税金について素人なので、詳細は専門家の方に聞いてください。
サラリーマンは払っている税金額を知らない
まず、多くのサラリーマンは、自分が払っている税金の額を把握していません。
日本の税金は複雑ですが、おおよそ、以下のものを払っているはずです。
税金
- 所得税
- 住民税
社会保障費
- 健康保険
- 年金
- 雇用保険
- 介護保険(40歳以上)
さらに、会社負担の社会保障費も考えると、サラリーマンは収入の5割ぐらいを国に取られているとも言われています。
ですから、「お金を貯めてお金持ちになる」という目標を達成することは、サラリーマンでは難しいと言わざるを得ません。
少なくとも税金面では、国は「サラリーマンには無頓着のままでいて欲しい」と考えていると思って間違いありません。
ちなみに、これはエンゼルバンクという漫画に描かれている内容です。
フリーランスは様々な節税ができます
サラリーマンが税金に無頓着なことは説明しました。
一方で、フリーランスはどうなっているのでしょうか?
フリーランスの場合は、税金を払う仕組みが異なります。
税金を払う前にお金を使うか、お金を使った後に税金を払うか
大きな違いは、「お金を使ってから税金を払う」か、「税金を払ってからお金を使う」という点にあります。
フリーランスの場合
年間に500万円の収入があったとして、それに対する年間の支出を考えてみます。
経費とは、「税金がかかる前に使えるお金」と言い換えることもできます。
項目名 | 生活の費用 | 経費 |
家賃 | 120万円 | 60万円 |
光熱費 | 12万円 | 6万円 |
携帯代 | 6万円 | 3万円 |
通信費 | 12万円 | 6万円 |
車の費用 | 40万円 | 20万円 |
外食費 | 40万円 | 20万円 |
旅行代 | 10万円 | 5万円 |
合計 | 240万円 | 120万円 |
500万円の収入のうち、税金を払う前に120万円を使うことができます。
そして、残りの380万円から税金を払うことになります。
所得税と住民税だけで計算してみると、約24万円です。
手元に残る金額を計算してみます。
残りの生活費は、240万円(生活の費用)- 120万円(経費)で120万円です。
380万円 - 24万円 - 120万円(残りの生活費)= 236万円
サラリーマンの場合
一方で、サラリーマンの場合は、最初に500万円の収入から税金を払います。
所得税と住民税だけで計算してみると、約40万円です。
先に40万円の税金を払って、残った460万円から生活費を払うことになります。
手元に残る金額を計算してみます。
460万円 - 240万円(生活費)= 220万円
累進課税制度
上の計算例では、税金だけしか計算していないので、差は16万円だけでした。
しかし、給与額が大きくなったり社会保障費も計算すれば、フリーランスとサラリーマンの差はもっと大きくなります。
なぜならば、日本の税制は累進課税制度だからです。
つまり、「税金」と「社会保障費」は所得が大きくなるほど、払う額が大きくなります。
ということは、税金を払う前にお金を使えたとしたら、払う額も少なく済むということになります。
さらに累進課税の制度を上手くつかうと、もっと払う税金は安くなります。
例えば、380万円の所得の半分である190万円を奥さんに払うとします。
1人が380万円から、1人1人が190万円に変更します。
そうすると、税金が24万円から14万円程度に減ります。
祖父母や15歳以上の子供にもお金を渡すことができます。
そうすれば、収入が1,000万円であったとしても、払うべき所得税や住民税は驚くほど少なくなります。
年金ってどうなの?
サラリーマンは年金が手厚いけど、フリーランスは年金があまり貰えないという話も、よく耳にします。
これは、話が難しいのでなんとも言えません。
なぜならば、二つの複雑な問題があるからです。
2つの問題!
- サラリーマンが払っている年金は、会社負担分をどう計算すべきか?
- 将来、貰える年金額は変動する
結局、国の制度が複雑なせいで、論点を絞りきれないというのが現状です。
この辺りは、橘玲さんの記事に詳しく書かれています。
国の年金制度は、大きく分けて3つあります。
- 国民年金(フリーランス)
- 厚生年金(サラリーマン)
- 共済年金(公務員)
国民年金と厚生年金を一緒にしようという話はよく出てきますが、共済年金を一緒にしようという話は決して出てきません。
それこそが、今の年金の現状を表していいます。
簡単に言えば、サラリーマンは国からなめられています。。。
まとめ
この記事では、税制面におけるフリーランスとサラリーマンの違いを説明しました。
最後に、改めてポイントを説明します。
ここがポイント!
- フリーランスは、税金を払う前にお金を使うことができる
- サラリーマンは、税金を払った後にお金を使う
- フリーランスは報酬を家族で分ければ、税金が安く済む
- 貰える年金額は論点を絞りきれないので、我々が話しても無駄
フリーランスかサラリーマンかを決めるポイントは、税制面だけではありません。
家族構成、働く場所、安定性なども影響してきます。
それらを十分に考慮した上で、最終的に判断をしましょう。
橘玲さんの、このツイートも参考になるかもしれません。
年収1000万円を超える会社員は、16年分から給与所得控除が順次縮小されています。社会保障の財源が苦しくなれば、なりふり構わず、取れるところから取るしかありません。頑張って勉強して大企業に入り、出世して高収入のサラリーマンになるという人生設計は破綻しつつあります。
— 橘 玲 (@ak_tch) February 18, 2020