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失われた30年とは何だったのか?【日本が没落した理由】

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記事の内容


「失われた30年」とは、「成長しなかった30年」と言い換えることもできます。
その始まりは1990年前後なので、平成30年の間、日本は成長していないということになります。
日本は、なぜ、30年間も成長できなかったのでしょうか?
この記事では、その理由を説明していきたいと思います。

1990年から2000年まで

1990年代は、日本は金融政策で大損した時代です。
金融で失敗したので、成長どころではありませんでした。。。
主な2つの要因を説明します。

バブル崩壊

失われた30年の始まりは、「バブル経済の崩壊」です。
バブル経済の崩壊とは何だったのか?
経済的な説明だと、「株価が実態に比べて高くなりすぎたから、崩壊した」と説明されることが一般的です。
でも、それは一つの事実でしかありません。

「バブル経済の崩壊」とは、何者かにお金を奪われた社会的な現象です。
1989年の時価総額は約600兆円でしたが、1992年には約300兆円に減っています。
この差額の300兆円は、誰の手に渡ったのか?
株は、損をする人もいれば得をする人もいます。
損をしたのは株を買っていた多くの日本人や企業です。
一方で、得をしたのはアメリカ人や中国人だと言われています。
この損をした300兆円の埋め合わせをするために、多くの企業は苦しみました。

2011年にオリンパスのマイケル社長が、社内の不正会計を訴えた事件がありました。
その不正会計の始まりは、1989年のバブル崩壊による損失を埋めたことが始まりです。
つまり、20年もの間、その不正は隠され続けてきました。
オリンパス以外にも、バブル時の損失を隠している企業はあるかもしれません。
それほどの影響があった事件が、バブル崩壊です。

繰り返しになりますが、多くの日本人と企業が合計で300兆円の損をしたのがバブル崩壊です。
そして、その精算は2020年現在でも、終わっているか定かではありません。

様々なお金の動き

1990年代には、その他にもいくつか、大きなお金の動きがありました。
ロシアの財政危機、LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の倒産、アジア通貨危機などです。

ロシアの財政危機では、ロシアという国家が債務不履行(デフォルト)を起こしました。
債務不履行とは、「借金を返さない」という宣言です。
これによって、多くの投資家が泣きを見ることになりました。。。

LTCMは、ノーベル経済学賞を受賞した人達が運用していたファンドですが、これも倒産しました。
相場には絶対がないということを多くの人達が知りました。

アジア通貨危機では、タイ・インドネシア・韓国、その他の東南アジア諸国の経済が大幅に落ち込みました。
マレーシアのマハティール首相が、通貨トレーダーを嫌っているのは、アジア通貨危機のせいです。

それらの事件を簡単にいえば、株式市場、為替市場、債券市場でのお金のやり取りで、大儲けした人達と大損した人達がいたということです。。
大金を手にした人達もいれば、大損をしたファンドや国家がいます。
日本の金融機関にも損をした人達がいました。

そして、一部には見捨てられた金融機関もありましたが、他の埋め合わせは日本人の税金で行われました。
また、銀行を守るために安い預金金利を設定して、ATMの使用料には高いお金を設定しました。
つまり、「特定の誰かが損をする」という方法を選ばずに、「日本人全員で損をする」という方法を選択をしたことになります。

LTCMについて知りたい人には、この本がオススメです


アジア通貨危機やロシアのデフォルトについて知りたい人は、この本がオススメです


2000年からの20年間

成長したアメリカのIT企業

2000年からは、時代は金融からITへと移り変わります。
結論から言ってしまうと、アメリカはIT化に成功して日本は失敗しました。
これが失われた20年の正体です。
それを数字で確かめてみます。

アメリカの企業の時価総額を見てみます。
2000年から2001年あたりで、ITバブルが崩壊したせいで大幅に変動しています。
下記の表でわかるように、2000年だと多くの企業にそこまでの価値はありませんでした。
でも、それからの20年で急成長しており、ここに書いた企業の合計だけでも570兆円の価値があります。
その他のIT企業を合わせたら、700兆円近くはいくはずです。

2020年現在、東証一部の時価総額の合計が660兆円ぐらいです。
大雑把な計算ですが、この20年間だけで、アメリカのIT企業は日本の企業価値の全てを創出したと言い換えることができます。

企業名 創業 2000年辺りの
時価総額
(概算です)
今の時価総額
Apple 1997年
(ジョブスが復帰)
約5,000億円 140兆円
Microsoft 1975年 約10兆円 - 20兆円 130兆円
Amazon 1994年 3,000億円 - 5兆円 100兆円
Google 1998年 未上場 100兆円
Facebook 2004年 未上場 65兆円
Cisco 1984年 5,000億円 - 5兆円 20兆円
Netflix 1997年 未上場 15兆円

一方で日本のIT企業のいくつかを見てみます。

企業名 創業 2000年辺りの
時価総額
(概算です)
2020年の時価総額
ソニー 1946年 約10兆円 10兆円
富士通 1949年 約5兆円 - 10兆円 2兆円
ソフトバンク 1986年 3,000億円 - 21兆円 9兆円

未だに「ITバブルの高値を越えることができていない」というのが現状です。
では、なぜ、そうなってしまったのでしょうか?
その理由についても考えてみます。

日本は既得権益を奪う人を潰します

日本人、日本政府は既得権益を奪う人に対しては容赦をしません。
公正な市場競争ではなく、時には国家権力を使って潰します。
その結果、日本国内では既得権益の人達は得をする一方で、海外との競争には負けることになります。

具体的に2つの例を紹介します。

ライブドア

2000年代、日本でもIT化は進みました。
その中でも、一番、成長していたのがライブドアという企業です。
フジテレビやソニーを買収しようとしていました。
でも、残念ながら、政府から?様々な邪魔があって買収は失敗しました。
そして、最後には検察によって社長が逮捕されて、企業ごと潰されてしまいました。

今にして思えば、ホリエモンはかなり先見の明があったと言えます。
フジテレビを買収できていれば、Netflixがやっていることはもっと早くに実現できていたはずです。
また、ソニーを買収できていれば、iPhoneやAndroidに負けない端末が作れていたかもしれません。
日本からもGAFAに対抗できるような企業が生まれていた可能性はあったということです。
それにも関わらず、権力によって企業を潰してしまったのは非常にもったいないことです。

もちろん、ライブドア社に何らかの不正会計があったならば、それはそれで罰を受けるべきですが、東芝の不正会計に対する政府の態度を見ると、公正な判決だとはとても思えません。

Winny

2000年代、日本にはWinnyと呼ばれるソフトウェアがありました。
それを使えば、映画や音楽を無料でダウンロードできるというソフトウェアです。
Winnyによって、著作権が侵害されて多くの団体を損失をこうむりました。

それで何を思ったのか、警察はWinnyの作成者を逮捕しました。
Winnyを作成した技術者は、東大卒の天才です。
政府として、その才能を他のことに活かす手段はいくらでもあったはずです。
でも、逮捕することによって、金子さんという天才の人生を潰してしまいました。

ちなみに、Winnyに使われているP2Pという技術はSkypeやBitcoinにも使われている技術です。
SkypeやBitcoinの開発者は大金持ちになっているのに、Winnyの開発者は逮捕されてしまいました。
金子さんは生まれた国が悪かったのかもしれません。。。

▼ 金子さんとWinnyについて知りたい人は、この本がオススメです


団塊の世代をリストラできなかった

失敗した「IT化」

新しい技術に対して、日本政府がどういう態度を取ってきたのかわかって貰えたはずです。
では、その間に大企業はITを使って何をしていたのでしょうか?
簡単に言えば、大したことは何もしませんでした。

ところで、「IT化」とはどういうことでしょうか?
「IT化」を因数分解すると、以下のようになります。

「IT化」」というのは、「効率化をする」ということです。
「効率化をする」というのは、「その現場から人員を減らす」ということです。
「その現場から人員を減らす」ということは、「他で雇用を創出する」「リストラをする」ということに繋がります。

IT化とは?

  1. 効率化をする
  2. 効率化をしたことで、余剰人員を作る
  3. 余剰人員で、新たな事業を創り出す
  4. それでも余った余剰人員をリストラする

日本企業は、「余剰人員を作る」という選択肢を取ろうとはしません。
なぜならば、日本人は変化を嫌うからです。
そして、日本企業で働く従業員は、「日本社会は変化を嫌う」ということを知っています。
そのため、最初から本気の効率化をしようとは考えません。
自分達の仕事や作業がなくならない範囲で効率化をしようとします。

そのため、結局、効率化が進みません。
「マイナンバー制度」は使い勝手が悪いことで評判ですが、それが典型です。
「マイナンバー」を使って本気で効率化を進めてしまえば、公務員の仕事がなくなってしまいます。
その結果が、今のような使い勝手が悪いマイナンバー制度です。。。

リストラできなかった理由

令和になってから、会社が急にリストラを始めたのでビックリした人も多いはずです。
では、なぜ、平成の間はリストラができなかったのでしょうか?
決して元号のせいではありません(笑)

その理由は、団塊の世代というボリューム層のせいです。
団塊の世代とは、1947年〜1949年に生まれた人達のことで、800万人ぐらいいます。
ただし、この記事ではもう少し広い意味で団塊の世代という言葉を使っています。
具体的には、1947年〜1953年ぐらいに産まれた人達です。

政治家は、この人口のボリュームゾーンからの支持を失うことを恐れて、企業にリストラの禁止を命じました。
そして経団連は、自分達の雇用を守るために決してリストラをしようとはしませんでした。
この2つが、平成という時代に「リストラ」が進まなかった理由です。
そして、令和になって「団塊の世代」が退職した頃を見計らってリストラが始まりました。

平成は、団塊の世代の雇用を守る時代でした。
令和は、団塊の世代の年金を守る時代になりそうです。

まとめ

この記事では、平成の間、日本が成長できなかった理由を説明しました。
改めて説明すると、主なポイントは以下の通りです。

成長できなかった30年の理由

  • 株や為替(FX)で大損をした
  • 既得権益を守るために、IT化を推進しなかった
  • 団塊の世代を守るために、従業員のリストラをしなかった

こんなことをやっていれば、30年間、成長できるはずもありません(笑)
日本人は、好んで低成長を望んでいるようにすらも見えます。
令和では少しでも成長できることを祈っていますが、「社会保障の負担」という重みがある以上は、今後も成長は難しいかもしれません。

Good luck!

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