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トロッコ問題は意外と身近な話なので、もっと考えよう

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最近、Twitterでトロッコ問題がバズっていたので、それについて書きたいと思う。
トロッコ問題は空想的で、考える意味のない話だと思っている人が多いように感じたので、トロッコ問題に類似したケースを論じていきたい。

トロッコ問題は知っている人も多いと思うけど、念のために解説しておこう。

線路を走っていたトロッコの制御が不能になった。
このままでは前方で作業中だった5人が猛スピードのトロッコに避ける間もなく轢き殺されてしまう。
この時たまたまA氏は線路の分岐器のすぐ側にいた。
A氏がトロッコの進路を切り替えれば5人は確実に助かる。
しかしその別路線でもB氏が1人で作業しており、5人の代わりにB氏がトロッコに轢かれて確実に死ぬ。
A氏はトロッコを別路線に引き込むべきか?

回答は、あくまでも2つだ。

  • 5人を助けて、1人を見殺しにする
  • 5人を見殺しにして、(1人を助ける)

たまに別の回答として、「みんなを助ける方法を考える」というものがあるけど、それは反則技だと思っている。
なぜならば、それを回答として認めるならば、知っている人は誰もがそれを選ぶし、問題の意味がないからだ。

少し話は違うけど、「金田一少年の事件簿の悲恋湖伝説殺人事件」において、トロッコ問題と似た話である「カルネアデスの板」の話が出てくる。
主人公が、ヒロインから「あなたがカルネアデスの板の状況におかれたらどうするの?」と質問を受けるのだが、それに対して金田一少年は「みんなが助かる方法を考える」と応える。
彼女に対する聞こえはいいけど、大した意味のない答えであることは間違いないだろう。。。

とまぁ、ここまでは前置きみたいなものだ。
実際には、どういうケースでトロッコ問題が存在するのかを考えていこう。

自動運転

今、トロッコ問題が必要とされているのは、自動運転だろう。
アメリカのカリフォルニア州では、電気自動車(EV)の自動運転シャトルバスサービスを提供しているそうだ。
それは素晴らしいことだけど、内部のロジックを実装しているプログラマは大変だ。
例えば、以下のような状況を考えてみて欲しい。

  • 後ろから、暴走トラックが突っ込んでこようとしている
  • 前は交差点で、全方位に人がいる
  • バスには5人が乗っている

色々な選択肢を考えてみる。

  • 停車する → 乗客の5人は死ぬ(可能性が高い)
  • 左に行く→ 歩行者の1人は死ぬ(可能性が高い)
  • 前に行く→ 歩行者の2人は死ぬ(可能性が高い)
  • 右に行く→ 歩行者の3人は死ぬ(可能性が高い)

さらには、停車する時でも、どちらの方向にハンドルを切っておくかを考えなければならない。
なぜならば、暴走トラックがバスに追突してきたら、そのハンドルの方向にバスが進む可能性があるからだ。
そして、結果的に歩行者の誰かを殺すかもしれない。
だから、停車時の選択肢はこんな感じになるのかもしれない。
(力学的にどう動くかは、やってみないとわからないけれど)

  • 停車して左にハンドルを切る → 乗客の5人は死ぬ + 歩行者の1人は死ぬ
  • 停車してハンドルはそのまま → 乗客の5人は死ぬ + 歩行者の2人は死ぬ
  • 停車して右にハンドルを切る → 乗客の5人は死ぬ + 歩行者の3人は死ぬ

この時にどう動くかは、プログラマは予め実装しておく必要がある。
俺のような凡人が考える選択肢だと、この3つだけだ。

  • 停車して、自らが能動的には人を殺さない選択肢を選ぶ
  • 死亡する可能性の人数が少ない選択肢を選ぶ
  • 平均余命の合計が少ない選択肢を選ぶ。これは子供と老人では、子供を大切にしようという考え方だ。

Googleのエンジニアが、どういう実装をしたのかは公表されていないので知らない。
でも、確実に上記のようなロジックは実装されているだろう。
「その時にみんなが助かる方法を考えます」とソースコードに書いても、残念ながらプログラムが動くことはないのだ。。。

ドキュメンタリー映画の話

「The Deepest Breath」というドキュメンタリー映画の中にも、トロッコ問題のような話が出てくる。

  • 場所は水深50m
  • 男が続く息は、せいぜい2分
  • 自分の好きな女性が、水深50mで気を失っているかもしれない

男が取れる選択肢は以下のようなものだったと思う。

  • 自分だけが助かる(助かる可能性は高い)
  • 好きな女性だけが助かる(可能性はわからない)
  • 2人とも助かる(可能性はわからない)
  • 2人とも亡くなる(可能性はわからない)

そして、男は自分だけが助かる道を選ばなかった。
実際にあった映像記録だったので、なかなか見応えがあった。。。

私だったら、相手のスキルを信頼して、自分だけが助かる道を選んだかもしれない。
でも、相手が好きな人ではなくて彼女だったら、助けに行ったかも。
ただ、いずれにしても、考えられる時間が少なすぎるから、何を選んだかはわからない。

父親が溺死した事件

最近、ニュースで見た海難事故もトロッコ問題だろう。

  • 子供が溺れる
  • 父親が助けにいく
  • 父親が子供を助けたあと、子供を母親に渡した
  • 父親は力尽きて、溺れてしまった

母親が取れる選択肢は以下のようなものだったと思う。

  • 母親だけが助かる(助かる可能性は高い)
  • 母親と子供が助かる(助かる可能性は高い)
  • 母親と父親が助かる(可能性はわからない)
  • 3人とも助かる(可能性はわからない)
  • 3人とも亡くなる(可能性はわからない)

母親は、「母親と子供が助かる」を選んだ。

私だったら、子供の体力と相談して判断しただろう。
子供が一人でも泳げそうだったら相方を助けるし、子供が一人で泳げなそうだったら、母親と同じ判断をしただろう。

まとめ

上記で説明したように、自動運転車ではトロッコ問題を実装しておくことは必須だろうし、今後の新しい技術においてもトロッコ問題が出てくることはあるだろう。
さらには日常生活においても、トロッコ問題っぽい話が出てくることは稀にある。
3.11の津波の時などは、多くの人が、それを経験したのではないだろうか?
普段から、トロッコ問題の解像度を上げて考えておくことは、自分の身を守るためにも大事なことではないだろうか?

-ポエム, 社会

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