記事の内容
この記事を書こうと思った理由は、コロナ禍でも株価が上がり続けていることがどうしても不思議だったからだ。
おそらく、私だけでなく多くの人が同じ疑問を持ったことだろう。
世の中はこんなにも不景気なのに、なぜ株価は上がっているのか?
そして、なぜインフレは起こらないのか?
この記事を読んだ人が、そういった疑問を解決できるような解説をしていきたい。
コロナ禍でも株価が上がり続ける理由
「コロナ禍でも株価が上がり続ける理由」だけを説明するのは非常に簡単だ。
- 質問;なぜ、株価が上がっているのか?
- 回答;日本銀行がお金を刷って、株を買っているから。
バカバカしいかもしれないが、本当にこれだけのことなのだ。
日本銀行はいくらでもお金を刷ることができる機関だ。
そのため、彼らはいくらでもお金を刷ることができるし、それを自由に使うこともできる。
でもそうすると、今度は別の質問が出てくるはずだ。
- 日銀が大量にお金を刷って株を購入してもインフレにならないのか?
日銀が大量にお金を刷ってもインフレにならない不思議
本来、お金の価値は一定であるべきなので、お金を大量に刷れば物価は上がるはずだ。
つまり、今までは100円で買えていたジュースが、200円になってもおかしくはない。
でも、日本ではそういった物価が上がる現象は起きていない。
ところで、日本銀行がお金を刷っているのは、実は今に始まったことではない。
日本銀行は随分と前からお金を刷り続けているのだ。
2010年には約100兆円が市場に供給されていたけど、2020年では6倍の600兆円が市場に供給されている。
道理としては、紙幣の量が6倍になったならば、物価も6倍になっていなければ理屈には合わない。
どうすれば、この現象を理解することができるのだろうか?
年月日 | お金の供給量 |
1980年 | 40兆円 |
2010年 | 100兆円 |
2020年 | 600兆円 |
日銀が大量にお金を刷ってもインフレにならない理由
調べている内に、私はある勘違いをしていることに気付いた。
紙幣の量が6倍になっても、それが世間で使われなければ6倍のインフレにはならないのだ。
2010年と2020年を比較した時に、実際に使われている紙幣はおそらく同じ100兆円ぐらいなんだろう。
そして残りの500兆円は、全て金融市場に流れているっぽい。
金融市場にお金が流れているということは、株を持っている人が儲かっているということだ。
それを図にすると以下の様になる。
正確な数字ではないかもしれないけど、おおよそこんな感じであっていると思う。
年月日 | 使われるお金 | 金融市場のお金 |
2010年 | 100兆円 | 0兆円 |
2020年 | 100兆円 | 500兆円 |
実際に使われるお金が、同じ100兆円のままであることを不思議に思う人もいるかも知れない。
その謎を解くのは簡単で、日銀が刷っているお金は、お金持ちにしか渡されていないからだ。
ユニクロ(ファーストリテイリング)を例にして考えてみよう。
数字をわかりやすくするために、ユニクロの時価総額を約10兆円として設定する。
日銀は、ユニクロの株を20%ぐらい持っていて、その価値は約2兆円ぐらいだ。
ユニクロの筆頭株主は柳井さんで、株式を20%(2兆円)ぐらい持っている。
もし、日銀がユニクロの株を買っていなければ、ユニクロの時価総額は8兆円ぐらいになる。
そうすれば、柳井さんの財産も1兆6千億円に減ってしまう。
ただ4千億円は非常に大きな金額だけど、4千億円があろうとなかろうと、柳井さんが世間で使うお金に変わりはない。
いち個人としては、2兆円も1兆6千億円も同じ金額だろう。
これが、日銀がいくらお金を刷ってもインフレが起こらないメカニズムだ。
「日銀が刷ったお金は、株式市場などを通して金持ちだけに配られている!」という恐ろしい事実は、もっと世間に知られるべきだ。
日銀の購入有無 | ユニクロの時価総額 | 柳井さんのお金 |
日銀が購入した場合 | 10兆円 | 2兆円 |
日銀が購入しない場合 | 8兆円 | 1兆6千億円 |
ちなみに、もし日銀がこの10年間に刷った500兆円を国民に平等に配ったら、日本はインフレになっていただろう。
500兆円を国民1億人で割ったら、一人辺り500万円の臨時収入になる。
きっと、多くの人が家や車を購入するので、物価は上がったはずだ。
この仕組みは問題ではないのか?
最後に、日銀が無限にお金を刷れる仕組みの社会的な特徴についても言及しておきたいと思う。
- 誰でも株式などの資産を持てば、その資産がお金を生んでくれる
- 株式などから貰えるお金の方が、働いて貰えるお金より大きくなる
- 日銀に株を買ってもらえる上場企業は、事業が失敗していても倒産しない → 企業がゾンビ化する
- ゾンビ化している企業に勤めている従業員は、高い給与をもらい続ける
これはつまり、大企業に入ったり株などの資産さえ持てれば、人生は安泰になりやすいということになる。
また、個人の能力や努力に関係なく、格差が固定されやすいということも意味している。
この仕組みがどういう場所に行き着くのかは、今のところ誰もわからない。
でも、おそらくは、旧ソ連のような社会の崩壊というところに行き着くのだろう。
話は少し変わるけど、この仕組みを問題視した人がビットコインを作成したと言われている。
これはアメリカの中央銀行が、お金をいくらでも刷ることを皮肉ったメッセージだ。
NYTimes 09/Apr/2020 With $2.3T Injection, Fed’s Plan Far Exceeds 2008 Rescue
このような腐った金融システムが無くなることを強く願う。
完全に蛇足だけど、この腐った金融システムがなくなることを祈って、私はビットコインを応援したいし購入したいと思っている。
ちなみに、少し前に話題になっていたピケティが主張しているのも、同じ問題だ。
ピケティの主張を知りたい人は、これらの本を読んでみよう。
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