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エンジニア不足はオフショア開発で解決しない【成功パターンはあるの?】

更新日:

IT業界はエンジニア不足と聞いています。
そのため、ベトナムやフィリピンなのではオフショア開発が盛んと聞いたことがあります。
そうすると、将来は日本では、エンジニア不足が解消されませんか?
それとも、オフショア開発は失敗しますか?


記事の内容


IT業界ではエンジニアが全く足りていないので、オフショア開発を目指している会社が多くあります。
でも、多くのオフショア開発は失敗してるので、将来的にもエンジニア不足は解消されないでしょう。
この記事では、その理由を説明していきたいと思います。
ただ、補足としてオフショア開発の成功パターンも紹介しています。

オフショア開発の歴史

オフショア開発は、何も最近になって始まったわけではありません。
私が知っている限りでも、10年以上前からオフショア開発は行われていました。
ただ、その当時のオフショア先は、ベトナムなどの東南アジアではなくて、主に中国でした。
中国の人件費が、まだまだ安かった時代で、大連でのオフショア開発はよく耳にしました。
ただ、2010年以降になってくると、次第に中国の人件費が上がってきたので、ITだけではなく、多くの日系企業が中国から撤退しました。
オフショア開発は、一時的には人件費の恩恵が得られることもありますが、中国のように人件費が上がってくると撤退することになります。

オフショア開発は意外と安くない

過去のオフショア先である中国はさておき、今の主なオフショア先である東南アジアについて考えてみます。
オフショア開発は安いと言われていますが、意外とそうでもありません。
なぜならば、自社で現地に拠点を持とうとすれば、下記のような様々な経費がかかるからです。

様々な経費がかかります!

  • オフィス代や電気代などの水道費
  • 人事や労務の人件費
  • 通訳をしてくれる人の人件費
  • エンジニアの人件費

これらの経費も考慮すると、仮にエンジニアに払う給料が10万円だとしても、そこに数万円が追加されてくる計算になります。

また、自社では拠点を持たないラボ型と呼ばれるオフショア開発もあります。
ラボ型は、すでにベトナムなどに進出している日系企業から、現地人のエンジニアを借りる方法です。
この場合だと、エンジニアの単価は30万から40万ぐらいはかかります。

オフショア開発のメリットはエンジニアの単価を安く抑えられることですが、人件費が30万から40万円もかかってしまうと、日本の開発会社に比べてそこまで安くはありません。
それはつまり、コストメリットが出づらいということです。

日本人エンジニアだと単価は60万から90万なので、オフショア先のエンジニア単価の2倍ぐらいです。
もし実力が全く同じならば、オフショアで開発をするのもいいかもしれません。
でも、そういったことはあまり起きないので、オフショア先で二人雇うぐらいならば、私は「できる日本人」を一人、雇うことをオススメします。

「東南アジアには優秀なエンジニアはいないの?」と疑問に思われる方もいると思います。
その答えは、「東南アジアにも優秀エンジニアはいます!」です。
ただし、安く雇える優秀なエンジニアは存在しません。(2019年、現在では)
中国には既に日本人より給料が高いエンジニアが多くいますし、タイでも日本人と同レベルの給料を貰うエンジニアがいます。
途上国のイメージがあるフィリピン人でも、優秀なエンジニアは40万ぐらいを稼ぐ人はいますし、アメリカと直接、取引するエンジニアだと80万円ぐらいを稼ぎます。



日本人にとってのオフショア開発は便利ではない

この記事でもオフショア開発の大変さについて、少し言及しました。
日本語が通じない異文化で仕事をするということは、日本人が想像している以上に大変です。
それでも製造業の場合、例えば車の部品や服飾などの単純作業であれば、オフショアはやりやすと思います。
なぜならば、やることがある程度はパターン化されているからです。
そして、技術の進化ならびに陳腐化は、そこまで早くはありません。
車やバイクの部品の製造ならば、同じ部品を10年以上は製造し続けます。
IT系の技術の陳腐化は3年から5年ぐらいですが、車やバイクの部品ならば10年から20年はかかるはずです。
オフショア開発では、この差が大きいです。

以前は、ITの開発でも製造業と同じような考え方の元に、オフショア開発を利用していました。
つまり、一度、開発して納品したら終わりという考え方です。
いわゆるウォーターフォールと呼ばれる開発手法で、要件定義さえシッカリしていれば、後は誰でもプログラムを作れるという考え方でした。


でも、今のITの開発はアジャイルと呼ばれるもので、ウォーターフォールとは随分と異なります。
アジャイル開発だと、プログラムを作ったところがスタートで、それからプログラムを向上させていく手法です。
アジャイル開発で必要なことはコミュニケーションです。
つまりそれは、日本人とオフショア先とのコミュニケーションが以前よりも頻繁に行われるということを意味します。


もし、東南アジアの人が日本語を話せるならば、skypeなどのツールがある現代ではオフショア開発もできるかもしれません。
でも、東南アジアの人達は日本語を話せません。
日本人にとってのオフショア開発は、十分にコミュニケーションがとれないので不便なだけです。

一方で、アメリカ人がオフショア先としてフィリピンを選ぶのは理解できます。
時差があるとはいえ、フィリピン人は英語を話せますし、アメリカ人に比べて人件費が10分の1ぐらいです。
それならば、アメリカ人は十分にコストメリットを得られるはずです。

ベトナム人も嫌がる日本的な労働環境

さて、今までは日本人目線からのオフショア開発について説明しました。
では、ベトナム人はオフショア開発をどう思っているんでしょうか?

ベトナムや他の途上国は、貧乏な人が多いので、今は雇用が増えるオフショア開発を喜んでいる側面もあります。
でも、ベトナム人に話を聞くと、「日本の会社は厳しいので長くは勤めたくない」という意見を何度か耳にしたことがあります。
どうも、海外では日本のブラックな労働環境は有名なようです。
日本的な労働の価値観はベトナム人には通じないと思っていた方がよさそうです。
勿論、それはベトナムだけでなく、フィリピンなどの他の途上国も同じです。
欧米などもオフショア開発には熱心なので、ホワイトな労働環境と日本のブラックな労働環境を比べると、日本の会社は分が悪そうです。
オフショア開発を真剣にやろうとすると、職場をホワイトな環境にする必要があります。
そうすれば、経営者が思ったような成果とコストメリットが出てこないというのは、十分にあり得るシナリオです。

オフショア開発は失敗し続けるので、エンジニアは不足し続けます

過去10年のエンジニアの不足感

ここまで読んできたところで、オフショア開発は微妙だなと感じた人が多いはずです。
それでも、今後のオフショア開発が気になる人のために、過去のデータを見てみましょう。

IT人材白書によると、少なくともここ10年の間は、多くの企業がITの人材不足に苦しんできたことがわかります。

特に2013年以降は、80%以上の会社がIT人材の不足に苦しんでいます。
さらに、質に関しては、90%以上が不足感となっています。
つまり、スキルの足りていないエンジニアだらけということになります。

IT人材の量に対する過不足感

IT人材の質に対する過不足感

過去10年のエンジニア不足の解決方法

そして、エンジニアの人材不足の解決方法が下記の図です。
オフショア開発とニアショア開発(日本の地方都市)を合わせても、わずか11.3%しかありません。
つまりオフショア開発では、人材不足を1割しか解決できていなかったということになります。

オフショア開発の成功例

ここまで読んだところで、オフショアは駄目なことはわかってもらえたはずです。
でも、オフショアの成功例もあるので、それについても説明しておきます。
条件は以下の通りです。

これがポイント!

  • プロジェクトマネージャーが英語を話せる
  • プロジェクトマネージャーが現地でマネジメントをする
  • 現地でエンジニアを直接、雇用する
  • サーバー側は、AzureやHerokuのようなプラットフォームを使う
  • 大きいプロジェクトではない

上記のように、英語を話せるマネージャーが現地で指揮を取っているケースであれば、成功率は高まります。
途上国でのエンジニアの単価が20万だとして、日本人を一人雇うお金で4人のエンジニアを雇えるならば、決して悪い買い物ではないはずです。
スタートアップに向いているやり方ですね。

まとめ

この記事ではオフショア開発について、説明しました。
今までのウォーターフォール開発ですら、オフショア開発を有効には活用できませんでした。
アジャイル開発になれば、ますますオフショアを利用することは難しくなります。
なぜならば、コミュニケーションの量が増えているからです。

そう考えると、日本人エンジニアはオフショア開発を驚異に感じる必要はありません。
オフショア開発はこれからも失敗し続けるし、エンジニア不足が解消されることはなさそうです!

Good luck with your engineer life!

-IT業界, 海外・英語

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