この記事では、お金と人口の関係について、私の考察を話したい。
私が「お金と人口の関係」について考え始めたのは、ある寓話?を読んだからだ。
ある国には、100人の国民と一人辺り1万円のお金を持っている。
合計のお金は100万円だ。
10年後に、その国の人口が一人だけになってしまった場合、残った100万円の価値はいくらだろうか?
答えはもちろん、0だ。
お金があっても、何もサービスを享受することはできないからだ。
残った人口が50人だった場合、10人だった場合なども考えて見ると面白いが、一つ確実に言えることは、「お金の価値は人口と関係がある」ということだ。
この視点で、お金が語られることは、なかなか珍しいだろう。
でも、お金と人口に関係があることは間違いない。
そして、自分なりにある雑な式を考えてみた。
日本の総サービス(労働人口 × 生産性)=
預貯金 + 国債 + 年金 + 給与
この式から読み取れる事をいくつか説明しよう。
1、いくらお金があっても、その国の人口が少なければ意味はない
人口、正確に言えば労働人口が1以下になってしまえば、みんなが受けられるサービスは0だ。
例えば、国の貯金が1000兆円あったとしても、労働人口が1以下であれば、その貯金はただの数字であり、紙でしかない。
2、提供するサービス量を増やすためには、労働人口を増やすか、生産性を上げるかの2択しかない
日本の総サービスとは、労働人口と生産性を掛け合わせたものだ。
そして、日本の総サービスを上げるためには、そのどちらかを増やすしか方法はない。
100人の人口と50の生産性で、合計500のサービスがあったとする。
もし人口が50人に減れば、生産性を2倍にしなければ、500のサービスにすることはできない。
100 × 50 = 500
50 × 100 = 500
この2つのどちらかということだ。
よくある勘違いについても説明しよう。
国債などを発行して、日本に流通するお金をいくら増やしても、サービス量は決して増えない。
現時点でのサービス量が500で、流通するお金が100万円だったとする。
それをサービス量が500のままで、お金を200万円にしても、お金の価値が少なくなるだけだ。
今までは1万円で5のサービスを受けられたのに、2万円で5のサービスを受けられるように変わっただけだ。
ちなみに、このようにお金の価値が少なくなることはインフレと呼ばれている。
3、預貯金、国債、年金、給与で、サービス量の取り合いをしている
お金をいくら発行しても、サービス量が変わらないのは説明した通りだ。
ただ、発行されたお金にはいくつかの種類がある。
- 預貯金。これは老若男女がみんな持っている自由に使えるお金
- 国債。政府が発行して、使い道を決めているお金
- 年金。老人が持っているお金
- 給与。現役世代が受け取っているお金
サービス量を100としよう。
預貯金が、100万円
国債が、100万円
年金が、100万円
給与が、100万円
こうすれば、それぞれのお金が持つ効力は4等分されて、25づつのサービスを受けることができる。
でも、このように変更したらどうだろうか?
預貯金が、100万円
国債が、200万円
年金が、100万円
給与が、10万円
預貯金は、25サービス
国債は、48サービス
年金は、25サービス
給与は、2サービス
給与から受けられるサービスが大幅に減っていることがわかるだろう。
実はこれは、今の政府がやっていることだ。
国債を大幅に発行する一方で、給与には大幅な税金をかける。
こうすることで、働く人が享受できるサービスを大幅に削減することができる。
このスキームを考えた人は、まさしく悪魔だろう。
ところで、なぜ政府はこのようなスキームを行っているのか?
それは老人医療と介護産業を支えるためで、このような流れになっているからだ。
- 老人医療と介護産業には、お金を渡さないといけない
- でも、そこから税収は上がってこないので、国債を発行してお金を渡す
- ただ国債を発行してお金を渡すと、インフレになってしまう
- 増税をして、給料からお金を差し引いて、帳尻をあわせている
ちなみに、もし増税をしない場合は、このようになる。
預貯金が、100万円
国債が、200万円
年金が、100万円
給与が、100万円
預貯金は、20サービス
国債は、40サービス
年金は、20サービス
給与は、20サービス
預貯金、年金、給与のサービスが仲良く減ることになる。
このような事は、老人には決して受け入れられないだろう。
それを避けるために、現役世代の給与だけが狙い撃ちにされて、増税されているのだ。
最後に、今後、10〜15年間の日本で起こることも書いておこう。
- 労働人口は減る一方
- 無人レジなどが進んではいるものの、労働生産性をこれ以上あげるのは、難しい
- 老人医療と介護産業は増える一方
ということは、今後も国債は発行され続けるし、現役世代に対する増税は、間違いなく続くだろう。