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「失敗の本質」に書かれている内容はコロナ禍の対応にも当てはまっている

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記事の内容


「失敗の本質」とは戦前の日本軍の失敗について、まとめられている本です。
かなり有名な本なので、タイトルぐらいは聞いたことがある人も多いと思います。

私はこの本を読んでいる内に、日本軍と今の日本政府に類似点を見つけることができました。
コロナ禍に対する日本政府の対応と、アメリカと戦う日本軍の対応には類似点があります。
この記事では、「失敗の本質」に書かれている重要な点を抜き出しながら、現代に引き継がれている日本人の性質について書いていきたいと思います。

日本軍は優れていた

「失敗の本質」というタイトルですが、この本には日本軍の優れた特性についても書かれています。
まずは、日本には素晴らしい点もあるという事例から紹介していきたいと思います。

アメリカのパイロットに「1対1では戦うな」と厳命されていたゼロ戦

零戦は、ベテラン搭乗員との組み合わせで、戦争が始まった当時は世界一の飛行機だとされていました。
また、アメリカのパイロットは、「零戦とは一対一では戦うな」と上司から厳命されていたそうです。
零戦を開発した技術者とそれを使いこなしたパイロットは、本当に素晴らしいですね。

零戦の優秀性は誰しもが認めるところである。
戦後に至っても戦闘機としての大きな技術革新として評価されている。
ところがその零戦にしても、技術開発陣のヒト資源の余裕のなさも手伝ってその後は場当たり的な改良に終始したため、艦隊決戦という時代遅れになりつつあった戦略発想を覆すものではなく、その枠内にとどまるものでしかなかった。
攻撃能力を限度ぎりぎりまで強化した名機は、ベテラン搭乗員の練度の高い操縦によって初めて威力を発揮した。
米軍は、防禦に強い、操縦の楽なヘルキャットを大量生産し、大量の新人搭乗員を航空主兵という戦略のヒト資源として活用した。

超人的な日本人

日本軍には、夜間で8,000m先の海上を識別できる人がいたそうです。

こうした戦術の例としては、夜陰を活用した駆逐艦の魚雷による漸減作戦や超人的ともいえる見張員の透視力(優秀な者は夜間8,000メートルの海上で軍艦の動いているのを識別できた)に頼る大艦隊の夜戦先制攻撃などがあげられる

中国に対しては連戦連勝だった

日本は中国軍に対しては、連戦連勝でした。

満州事変、日中戦争などで対決した近代的陸軍とはいえない中国軍に対しては、個々の戦闘では十分に機能したのである。
また、大東亜戦争の緒戦でも、まさに連戦連勝の成果を収めたのである。

イギリスに対しても連戦連勝だった

イギリス軍に対しても連戦連勝でした。
581名で6,000人に勝ったのは快挙です。

わずか581名を以て第五師団主力の攻撃路を開くべくやみくもに突進し、6,000名で守っていた英軍の堅陣ジットラ・ラインに予期せずしてぶつかり、夜襲を敢行してわずか一日で抜いてしまった。

飛行機による機動部隊で作戦をおこなった日本

日本の航空部隊が、イギリスの誇る「プリンス・オブ・ウエールズ」と「レパルス」という戦艦を撃沈しました。
それを聞いたイギリスの首相であるチャーチルは、「 戦争全体でその報告以上に私に直接的な衝撃を与えたことはなかった 」と著書に書いたそうです。
また、飛行機による機動部隊で真珠湾基地を攻撃した戦法は、世界で日本が初めておこないました。

ハワイ奇襲作戦で成功したのは日本軍であり、マレー沖海戦で英国の誇る「プリンス・オブ・ウエールズ」と「レパルス」を航空攻撃で撃沈したのも日本軍であった。

日本軍の駄目だったところ

ここまで読んだ所で、「こんなに強い日本軍が何で太平洋戦争に負けたの?」と疑問に思う人も多いはずです。
その理由は簡単で、日本はイギリス、ソ連、中国、オランダよりは強かったけど、アメリカの方が日本より強かったからです。
何が言いたいのかというと、「日本はダメだったんだ」と悲観する必要はないけど、「上には上がいた」ということです。

日本軍は意見をまとめられなかった

アメリカに勝てなかった理由の一つが、「アメリカ軍は誰もがわかりやすい単純明快な戦略を立てる」けど「日本軍は意見をまとめない」という点です。

日本軍は作戦を立てる時に、様々な人の意見を聞いて玉虫色の作戦を立てる傾向にありました。
そうすると、その作戦自体は矛盾や無理をはらむことになるのですが、その矛盾を現場力で解決していました。
でも、現場に任せていると、どうしても兵士の判断に遅れが生じます。
アメリカ軍にはそのスキをつかれて負けることになりました。

結局、日本軍は六つの作戦のすべてにおいて、作戦目的に関する全軍的一致を確立することに失敗している。
このなかには、いくつかの陸海協同作戦も含まれていたが、往々にして両者の妥協による両論併記的折衷案が採用されることが多かったのである。

日本軍の作戦目的があいまいであったり、戦略策定が帰納的なインクリメンタリズムに基づいていたことはすでに指摘したが、これらが現場での微調整をたえず要求し、判断のあいまいさを克服する方法として個人による統合の必要性を生みだした。

お気持ちを大切にする日本軍

日本軍は体裁や保身を気にして、失敗するとわかっていても、作戦を止めようとは言い出せない雰囲気があったようです。
自分が「中止」と言ってしまえば、責任を取らされるから言えなかったのでしょう。
そうして、「なぁなぁ」で作戦を中止した上で、あとになって誰も責任を取らないというのが常態化していたようです。
「誰も中止とは言っていないから、責任の所在は曖昧だよね」ということのようです。

すでに作戦中止は不可避であった。
にもかかわらず、両者とも「中止」を口には出さなかった。
牟田口によれば、「私の顔色で察してもらいたかった」といい、河辺も牟田口が口に出さない以上、中止の命令を下さなかった。

本来ならば、関係者を集めて研究会をやるべきだったが、これを行なわなかったのは、突っつけば穴だらけであるし、みな十分反省していることでもあり、その非を十分認めているので、いまさら突っついて屍に鞭打つ必要がないと考えたからだった、と記憶する。

余裕がなかった日本軍

日本軍は、「月月火水木金金」というスケジュールで訓練していたと言われてします。
つまり、休みなしです。
それに耐えられる人は超人になれましたが、「効率のいい人材育成」とはかけ離れていました。
また、そういった訓練では気持ちに余裕があるはずもなく、新しいアイディアを考える機会はあまりなかったはずです。
その差が、太平洋戦争の後半に表れてきます。
ある日本の将校は、戦地でテニスをするアメリカ兵を見て、驚いたそうです。

日本軍はまた、余裕のない組織であった。
走り続けて、大東亜戦争に入ってからは客観的にじっくり自己を見つめる余裕がなかったのかもしれない。
物的資源と人的資源、すべてに余裕がなかった。
たとえば、日本海軍の航空機の搭乗員は一直制であとがなく、たえず一本勝負の短期戦を強いられてきた。
米海軍は、第一グループが艦上勤務、第二グループは基地で訓練、第三グループは休暇という三直制を採用できた。

アメリカの凄かったところ

日本とは逆の視点で、アメリカの凄かったところも説明します。

作戦の目的を明確にしていた

ミッドウェー海戦で、アメリカの司令部は、「空母だけを叩け」と厳命していました。
そのため、アメリカ側でもいくつかの失敗があったものの、兵士はその命令を実行するために迅速に判断をすることができました。
ミッドウェー海戦ではアメリカ軍の航空機にもかなりの犠牲がありました。
アメリカ軍にとっても苦しい戦いであったことがわかります。

しかしながら、米空母攻撃隊のこのようなめざましい成果は、必ずしも当初に予定されたシナリオどおりの作戦行動によってもたらされたものとはいえない。
そこにはさまざまな錯誤ないし偶然が重なっていた。
「ホーネット」「エンタープライズ」「ヨークタウン」から発進した各隊はバラバラに目標に向かい、意図せざる結果として、雷撃機隊による攻撃と爆撃機隊による攻撃とが連続し、しかも「エンタープライズ」と「ヨークタウン」から発進した爆撃機隊の急降下爆撃がほぼ同時になされることになったのだった。
しかし、これは偶然ないし意図せざる結果であったとはいえ、指揮下の全機全力攻撃を果断に決定したスプルーアンスの意思決定のもたらしたものでもあった。
彼の瞬時の果断な決定は、日本側の意思決定の遅れや逡巡と、きわだった対照をなしていた。
なお、「ホーネット」から発進した爆撃機隊と戦闘機隊は、このとき日本軍機動部隊を発見することができなかった。
また、米軍の航空機の犠牲はきわめて大きく、とくに雷撃機は全滅に近かった

精神力だけで戦おうとはしなかった

太平洋戦争の初期の頃は、アメリカは日本軍の零戦にボコボコにされています。
そこで軍の上層部は、「零戦に出会ったら逃げろ」「1対1では零戦と戦ったら駄目だ」とパイロットに伝えています。
自分達の弱さを見つめた上で、パイロットを大事にしていたからこそ、言えた言葉でしょう。

その上で、太平洋戦争の後半では新しい兵器を開発して、零戦に戦いを挑みます。
現状を冷静に分析できたことが、アメリカ軍の強みだったと言えます。

現代の日本政府の失敗

ここまでで、日本軍とアメリカ軍の特徴を見てきました。
改めて日本軍の特徴を書き出してみます。

  • 日本軍は、優れていた
  • 日本軍は、意見をまとめられなかった
  • 日本軍は、お気持ちを大切にしていた
  • 日本軍は、余裕がなかった

そして、残念なことに、これらの特徴は今の日本政府にも当てはまります。
私がそう感じた理由を説明します。

コロナ禍の一時対応では優れていた

日本人は強制的なロックダウンをせずに、2020年の春に自粛だけでコロナ禍を乗り越えました。
これは他の国に比べて、日本人の民度が非常に高い証だったと言えます。

また、日本での2020年のコロナの死者数は、およそ3,500人です。
これは日本が世界で1位、2位を争う平均年齢が高い国であることを考えると、驚異的な数字です。
アメリカの死者数はおよそ35万人です。
人口が違うとはいえ、その差は圧倒的です。

コロナ禍の対応で意見をまとめられない

「様々な人の意見を聞いて玉虫色の作戦を立てる」というのは、残念ながら現代の日本政府にも受け継がれています。
コロナ禍のそれぞれの対応を思い出してみて下さい。
「自粛」「Go To Eat」「Go To Travel」「外国人労働者の受け入れ」
「自粛」とそれ以外の施策は明らかに矛盾しています。
なぜ、そうなっているのかと言えば、「自粛」は老人や医療業界のための施策で、他の施策は飲食、宿泊、一次産業、介護といった業界のための施策だからです。
様々な業界の意見を受け入れたら、こうなったのでしょう。
矛盾した施策をおこなって、あとは現場任せという政府の方針は、80年前と何も変わっていません。

お気持ちを大事にして判断が遅れる

2020年の冬、「Go To Eat」「Go To Travel」「外国人労働者の受け入れ」などの中止の判断が遅いと感じた人も多かったはずです。
これは、政治家がお気持ちを大事にした結果でしょう。
「このままではマズイ」、でも「中止」とも「続行」とも自分では言いたくない政治家が多かったのだと思います。
もしくは、利害関係を調整していたのかもしれません。
それが判断の遅れにつながっている可能性が大です。

余裕がない日本人

日本人に余裕がないのは、コロナ禍に始まったことではありません。
コロナ禍の前から、日本人には余裕がありませんでした。
コロナ禍になってからは、より一層、国民から余裕が失われてしまった気がします。

これでは、国民からいいアイディアが生まれるはずもありません。

コロナ禍における日米の差

2021年、現在、各国がそれぞれのやり方でコロナと戦っています。
おそらく、早期にコロナに打ち勝つのがアメリカでしょう。
そして、日本はコロナ禍の対応が泥沼化して、経済もボロボロになってしまうかもしれません。
その理由も、「失敗の本質」で説明することができます。

アメリカの戦略は単純明快で、誰が見てもわかるようになっています。

  1. 経済を優先します
  2. 国民のために、ワクチンを全力で開発します
  3. ワクチンができるまでは、個人個人が自衛しましょう
  4. コロナに罹ったら、お金がある人は病院に行って下さい
  5. コロナに罹っても、お金がない人は諦めて死んで下さい

人口が3億3千万人の国だとはいえ、2020年と2021年に60万人もの人が亡くなっている理由がわかります。
でも、経済自体は大して傾いていないのは流石です。
合理的な視点で、長期的なアメリカの繁栄を目指していることがよくわかります。

次に日本の戦略を考えてみます。
その戦略に優先度があるようには見えません。
一つ一つの戦術があるだけです。

  • 経済は大事です
  • 老人の命は大事です
  • 自粛をして下さい
  • ワクチンを開発します
  • 個人個人が自衛しましょう
  • 体調が悪くなったら、病院に行きましょう
  • 医療崩壊しないように気を遣いましょう
  • ホテルや飲食店を「Go To」で応援します
  • ホテルや飲食店は自粛して下さい
  • コロナを水際対策で抑え込みましょう
  • 低賃金な外国人労働者は、日本に来て下さい

書いてるだけで、わけわからんと思ってしまいます(笑)
でも、こんなことを真面目にやっているのが日本政府です。
色々な人達のことを慮った結果、こうなってしまっているのが日本らしいなと思います。
それでも、2020年と2021年に15,000人しか亡くなっていない日本は流石だったとも言えます。

でも、長期的な視点で見た時はどうでしょうか?
2020年の日本の婚姻数は2019年に比べて大幅に下落して、その下落幅は朝鮮戦争が起こった昭和25年に次ぐ2番目だったそうです。
これはつまり、コロナ禍が日本の若者に与えた影響は、朝鮮戦争と同じレベルだったということです。
これで日本の少子化が、ますます進んだことは間違いありません。
また、外国人が日本に来られなくなったせいで、飲食店、観光、介護、農家といった多くの産業が苦しんでいます。

日本の頼みの綱はワクチンだと思いますが、ワクチンを打つだけで高齢者が死ぬ事例がノルウェーでは確認されています。
1,400人にワクチンを打てば、1人が亡くなる計算だそうです。
日本の高齢者は3,500万人ぐらいですが、全員にワクチンを打てば2万5千人以上が亡くなります。
それを日本人は受け入れることができるのでしょうか?

数年後になって、この支離滅裂な戦略(戦術の束)のツケを現役世代が払うことになるのでしょう。

まとめ

この記事では、「失敗の本質」に書かれている日本人の性質について説明しました。
「失敗の本質」の序文には、以下のような文章が書かれています。
(注;大東亜戦争とは太平洋戦争のことです。)

より明確にいえば、大東亜戦争における諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ直し、これを現代の組織にとっての教訓、あるいは反面教師として活用することが、本書の最も大きなねらいである

戦後、日本の組織一般が置かれた状況は、それほど重大な危機を伴うものではなかった。
したがって、従来の組織原理に基づいて状況を乗り切ることは比較的容易であり、効果的でもあった。
しかし、将来、危機的状況に迫られた場合、日本軍に集中的に表現された組織原理によって生き残ることができるかどうかは、大いに疑問となるところであろう。
日本軍の組織原理を無批判に導入した現代日本の組織一般が、平時的状況のもとでは有効かつ順調に機能しえたとしても、危機が生じたときは、大東亜戦争で日本軍が露呈した組織的欠陥を再び表面化させないという保証はない。

コロナ禍に襲われている今こそが、本書に書かれている「将来、危機的状況に迫られた場合」です。
今回こそ、日本人が陥りがちな「組織的欠陥」を克服したいものですね!

P.S.

ちなみに、この本に書かれていることが絶対に正しいわけではありません。
例えばノモンハン事件に関して、この本では日本軍が惨敗したことになっています。
でも実は、ソ連も「日本は手強い」と感じていて実際の所は引き分けだったと言われています。
この本が書かれた当時、ソ連の情報が公開されていなかったことが原因でしょう。

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